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‥
その日は時間が経つのが凄く早くて、
さっき昇ったばかりの太陽がもう大きく傾いていた。
ああ、…そろそろ。
「…伊野ちゃん」
「そろそろ帰んなきゃね、」
「荷物まとまってる？」
「うん、あと乗せるだけ」
伊野ちゃんも俺も、声のトーンが少しばかり低い。そりゃあそう。
もうお別れなんてさ。しんどいよ
「乗せとくから、雄也さんと山田呼んで？」
「ん、おーけー」
自分の分と伊野ちゃんの分のキャリーケース。
なんだか、来た時よりも重い気がした。
でもきっと、そう感じるのは、俺の心が重いから。
「連れてきた〜」
「…ふぅ……」
「だーいちゃん」
雄也さんと並んで立つ山田が、俺の名前を呼ぶ。
その声は、明るいのにどこか悲しげ。矛盾に包まれながら俺の耳に届いた。
雄也さんは雄也さんで、伊野ちゃんと目を合わせて何も発せなくなっている。
「7日間、お世話になりました」
「ふふ、急に他人行儀」
「ほんと、ありがとな」
「こちらこそ」
数秒の沈黙の後、山田が何かを堪えるように俯く。
思わず、傍にいって抱きしめてしまった。
こんなことしたら、離れるのもっと辛いかもって思ったけど。…前みたいに躊躇する理由はない。
今、山田を守るべきは、俺だから。
「あー…また雄也と2人かぁ…」
「ははっ、ちゃんと仲良くやれよ」
「そんな簡単に言うけど…子守りみたいなもんだからね？」
お互い顔を見せないまま、そんな会話を繰り広げる。これがいいと思った。顔を見たら、きっと山田は、泣いてしまう。
俺が好きなのは、山田の笑顔
最後まで、笑っていてほしかった
「…大ちゃん、早く行かないと暗くなっちゃうよ」
「…そーだな、」
山田から離れて、頭を1度撫でると
ふわりと笑った。
隣を見ると、雄也さんと伊野ちゃんは横に並んで海を見ていた。
…いいよな、この2人。大人っぽくて。
「高木、また会えなくなっちゃうね」
「そうだね、」
「……」
…大人だから、自分の気持ちを言わないの？
相手を思って我慢するの？
めんどくさ、そんなの。
「…伊野ちゃんも、雄也さんも」
「？」
「素直になんないと、伝わらないことだってあんだぞ」
「…何、大ちゃんのくせに」
「俺たちは素直になったもん、次は2人の番だよ？」
そう言って、山田と手を繋ぎながら
2人の様子を眺める。
‥
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だんご(プロフ) - 綺麗な文章で素敵でした！arymちゃんと思いきや大好きなtkinも出てきて幸せでした。ありがとうございました！ (2021年4月23日 14時) (
レス) id: 75e27edd14 (このIDを非表示/違反報告)
もえ(プロフ) - 綺さん» ありがとうございます（ ; ; ）はい！待ってます♪ (2020年7月4日 10時) (レス) id: 8a2ad34e00 (このIDを非表示/違反報告)
綺(プロフ) - もえさん» 読んでいただいてありがとうございました！今のところ考えてないので何かいいお話が浮かべば書かせていただきますね！ (2020年7月4日 6時) (レス) id: d4403408f6 (このIDを非表示/違反報告)
もえ(プロフ) - 完結おめでとうございます！もし宜しければ番外編等書いて欲しいです！ (2020年7月4日 2時) (レス) id: 8a2ad34e00 (このIDを非表示/違反報告)
綺(プロフ) - 盟さん» こちらこそ読んでいただいてありがとうございました！これからもよろしくお願いします！ (2020年7月3日 12時) (レス) id: d4403408f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綺 | 作成日時：2020年6月4日 8時
