天の川を渡って 《 arym 》

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‥






4日目。

昨日山田と話した通り、この旅行の半分が終わる。


あと4日。
普通旅行ってさ、あーそろそろ帰りたいとか、家で飯食いたいとか、家の布団で寝たいとかそういうの思うもんだと思ってた。

今の俺は、そんなの1ミリも感じなくて、
ただ、あと4日で、この気持ちがどうにかなるのか、と。それだけ。




「…山田、おはよ」

「おはよう、ご飯出来てるよ、」

「おう、」




山田は、昨日のことなんてすっかり忘れたみたいに普通通りに戻っていた。
…ああ、もう。なんでこんなにもやもやするんだ。

心が、分厚い雲がかかったみたいに重たく感じる。



ぱっと窓の外を見ると、俺の心みたいに
空にも真っ黒な雲がかかっている。




「今日、大雨だってさ。海の家は休み」

「今週はずっと晴れの予報だったのに、」

「まあ3日間動きっぱなしで疲れたでしょ、今日くらい家で休んでなよ」

「…それもそーだな、」




少し気分が落ちながらも、テレビをつけて床に座った山田の真正面に座る。

初めて会った日、「大ちゃんとは仲良くなれる気がする」そう言った山田。
仲良く、なれただろうか。山田の中の「仲のいい友達」の枠に入れただろうか。

入れていたとして、

ずっと、その枠止まりなのだろうか。




「夜まで雨かぁ…」




天気予報を見てそう呟く山田

何故だか急に、心臓が痛くなって、
美味いはずの飯の味は、感じなかった。







‥

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