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ヒロインになりたい ページ32

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紫「食べる?」







隣に座った紫耀がポップコーンを私の口元に運んでくる







「じ、自分で食べるからいいよ…」



紫「ええやん、ほらあーん」









今日は やけにベタベタしてくる紫耀


いつもはこんなんじゃないくせに、なんかデートみたいで急に恥ずかしくなっていると


反対の隣に座っていた廉にぐいっと腕を引っ張られた









廉「お前席変われ」


「え、なんで?」


廉「…こっちのがよく見えるから」


「こっちでもよく見えるけど」









紫耀と廉に挟まれて座っている私と席変われって


あんまり変わらないと思うんだけど…









紫「廉も食べさせて欲しいん?笑」


廉「はぁ?アホちゃう」


紫「ほら、もう始まるで」


「大丈夫だから廉ちゃんと座ってよ」









少し不機嫌そうに、仕方なく前を向いた廉を見て紫耀はクスクス笑っていた



何がおかしいんだろ?









.









映画の内容は青春ラブストーリー



女の子が憧れるような出会いや、甘いセリフに私はキュンキュンしていた







ちらっと隣を見ると


スクリーンの明かりに照らされた綺麗な紫耀の横顔が見える







彼女はいつもこの横顔を見てるんだろうな



いいな…








ずっと見ていたら、視線に気づいた紫耀が振り向いてそっと私の頰に触れた






ふにゃっと笑う笑顔に


ドキドキする胸









でも、この笑顔はもう彼女のものなんだよね










そう思うと苦しいよ









スクリーンのヒロインみたいに




甘い言葉を言って抱きしめて欲しいのに









紫耀のヒロインは私じゃない









「……」









今なら涙が滲んでも、映画のせいにできるから




少しだけ泣いても大丈夫だよね?









ヒロインになれなくても









やっぱり紫耀のそばにいたいなんて思うのは







ダメなのかな









.

後悔 ~紫耀side~→←単純



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作者名:たかりな | 作成日時:2017年3月12日 21時

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