桜と君と僕らの嘘 ~secret story~ (ページ11)

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ザワザワ ~廉side~ ページ11

～廉side～

A「廉は変だと思わない？」

「そうか？俺は別に…」

最近Aは俺の部屋に来るたびにみんなおかしいよね？って言う

そんで俺に昔の話をしつこいぐらいに聞く

A「廉が大阪からこっちに戻ってきたとき、すっごく嬉しかったな」

「いつの話？」

A「小学校に入るとき。廉と同じ学校には行けないんだって思ってたから」

まだ俺が幼稚園のとき

当時大阪で一人単身赴任してたオトンのとこに、突然家族で引っ越したことがある

でも小学校に上がるとき俺はこっちに戻って来れた

俺もめっちゃ嬉しかったんは覚えてる

A「大阪に引っ越しちゃったの私知らなかったし」

「あー…」

Aはその時

病院にいたからな…

「俺も知らんうちにそういうことになっててん。誰にもバイバイできんかったんやで？」

A「やっと戻ってきたと思ったのに、その後2回もまた引っ越した」

「しゃあないやろ～、俺が行きたくて行ったわけちゃうし」

A「ねぇ………廉」

「何？」

A「もう………行かない？」

「え…？」

急に俺のシャツの袖を掴んでじっと見つめてくるA

シーンとした二人きりの空間に、めっちゃドキドキしてまう…

「行かへんって、前も言ったやん」

A「本当に…？」

もう泣かない、なんて言ってたくせに

今にも泣き出しそうな顔で俺を見てる

俺の服を掴んでるAの手をそっととって抱き寄せると

子供みたいにギュッとしがみついてきた

「……俺はもう何処にも行かへんから。Aのそばにおるから、な？」

Aに必要とされてるって思うと嬉しい

けど、Aを抱きしめていると

あの時の記憶が一気に蘇ってきて胸がザワザワしてしまう

Aは覚えてないはずや

覚えてないはずやけど

もしかしたらAの体の何処かが、無意識に覚えてるのかもしれない

だからこんなに不安がるん…？

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