プロポーズは世界一の舞台で。

13.これって映していいやつ？？ ページ13

世界中に貴方が知られるその時が静かに近づいていた。

ー
ＷＢＣ企画のテレビカメラマン目線


「先輩！大谷選手に恋人居たんですか？！」


後輩の佐藤がテレビ放映の準備にカメラを回しながら言ってきた。

いや俺も知らなかったよ、マジで。

出回る噂は全て嘘だと言われていたし、長年この業界にいるけど大谷選手の周りの人からも一切聞いたことなかったんだけど。


「あっ！二人ともカメラとインタビューの準備して！」


ＡＤの方がマイクやら中継の準備をドタバタとしながら指示してきた。


「先輩今行くます？？！！」


佐藤は浮足立ちながら今にも行きそうな勢いで聞いてくる。


「まだ駄目だ！大谷選手とテレビ局で約束交わされてるの忘れたんか？勝手にご家族の方映さない条件で単独インタビューとか受けてくれてるんやで」


そういえばそうだったと肩を落としながら３歩後退る。

ＡＤもその約束は忘れていないようで忙しくテレビ局とのとインタビュー出来るか否かの相談の電話をあっちこっちに掛けていた。


「えーえー、はい。ですが、今目の前で大谷選手が恋人だと思われる女性をグラウンドに連れ来て栗山監督や侍ジャパンの選手陣との挨拶が交わされてるんですよ！国際中継の方には映されていると思いますので確認をお願いします」



「はいもしもし！一応中継の準備だけでもして貰えませんか？いえ、中継するかは今上の許可の確認を取ってる最中です。はい、動きがあるようでしたらこっちの独断で映像だけでも撮ることは可能ですか？えーはい。はい。分かりました。また何かあったら連絡をお願い致します」」



「村山さん！出来るか分からないんですけどインタビューの準備してください！お願いします」



インタビュー担当のアナウンサーにも声を掛け始めていた。


さっきまで、ビールかけの準備をしていたクルーは今や明日のニュースで特番が組まれるかもしれないトピックの準備をしていた。

俺はただのカメラマンでしかないから何かできることなど何もない。

ただ山本選手や宇田川選手大勢選手なと挨拶を交わすその人を眺めながらあれこれと疑問が浮かぶ。


「いつからなんですかねー」



カメラを置きながら佐藤の口から出る


「さあなー」



本当にいつからだったんだ。

14.プロポーズ５秒前。→←12.侍ジャパンと彼女

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す