プロポーズは世界一の舞台で。

11.栗山監督の思い ページ11

翔平の頬を両手で包みながら2人目を合わせる



このあどけなさの残る笑顔が大好き

ちゅっ






嬉しさと愛しさで唇を軽く重ねた


「A大胆だな〜笑」

「あ、いや、これはっ」


そのまま私を抱き抱えられながら翔平がぐるぐると回る



「Aーーーーーーーー！！！！！！」


「あーっもうだめ！笑 目回っちゃうーーー！！」



「あ、俺も回ってきた笑」


そう言いながら少しずつ回転を緩め止まる翔平。


「もう〜笑 何やってんのよ笑」


翔平の肩をポンと軽く叩く。


「ごめんごめん笑 目回っちゃって笑」


優しく私を下ろすとその大きい手で頭をぽんぽんとしてきた。


こういう所ほんと優しいんだから


「あ、そういやみんなが挨拶したがってるんだよ」


「ん？みんなって？」

みんなはみんな。翔平がそう言うとベンチの方から続々と今日の英雄たちが出てきた。


私に誰よりも先に駆け寄り手を握ってくれたのは、感謝してもしきれない人だった。



「あ、あのどうも初めまして栗山です。Aさんの話は何度か翔平から伺っておりました。翔平と20年以上の付き合いだと聞いています。私の決断などでお2人の夢やお2人自身を苦しめたことがあったかと思います。それでも信じて翔平と共に頑張ってくれてありがとうございます。翔平の夢は簡単かと言ったらそうじゃなかった。翔平が苦しんでる時かける言葉が見つからない時が多くて、困っているといつもこいつが言うんです。



『監督大丈夫ですよ、言葉なくても思いは伝わってるんで。それに俺1人だけで頑張ってるわけじゃないんですよ。俺が失敗して帰っても、俺が諦めそうになっても、誰よりも俺の可能性を俺の未来を信じてくれるやつがいるんですよ。そいつが俺の欲しい言葉も求める人の暖かさもくれるんです。だから諦めたりしないんで心配しないでください』って。









あなただったんですね










やっとあなたに会えました」










栗山監督は強く私の手を握り涙ながらに語ってくれた。

12.侍ジャパンと彼女→←10.グラウンドの真ん中で君を叫ぶ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す