49 ページ49
車はそのまま大きな道路に出て、見たこともない道を進んでいく。
「どこに行くの？」
「…特に決めてない」
行先を決めずに車を走らせるって…、まるでドライブじゃない？
運転席の彼を横目でチラ見すれば、口を真一文字に結んで憂鬱そうにハンドルを握っていた。
そんなに憂鬱なら、どっかで手早く話を済ませちゃおうよ。
「あのさ…、うちの保養所がこの近くにあるはずなんだけど」
そう言ってるのに、彼は何も答えてくれない。
「話があるんでしょ？」
だけど彼はやっぱり、黙り込んだまま。
一体、何がしたいわけ？
車は山道をぐるぐると登って行き、誰もいない頂上の駐車場で、彼はようやく車を停めた。
まさか、ここで私を殺しちゃうとかじゃないよね？
だって、誰もいないし誰も来なさそうな場所だし、殺して山の中に埋めても誰にもバレないような気がする。
なのに彼は車のエンジンをかけたまま、１人で車から降りて行ってしまった。
しばらくして自販機で買ったらしき暖かい缶コーヒーを持って帰って来た彼は、愛想なく私に手渡してくる。
「ここで話すの？」
「そう
ここなら誰にも邪魔されなさそうだし」
しばらくの沈黙が流れた後、彼は唐突に謝ってきた。
「ごめん…」
それは何に対してのごめん？
だけど私は、とりあえず何で彼がここにいるのかの方が気になっていた。
「瑠璃子さんは？
一緒に帰って来たの？」
「知らない
少し話して、帰ってもらったから」
「何で！？」
「何でって…」
彼は少し困ったような表情をして、こちらに向き直った。
「困るから」
「何で困るの？
私がいいって言ってるのに」
「そうじゃなくて、何であの人と一緒にいなきゃいけないわけ？」
…は？
意味わかんないんですけど？
「２人は、好き同士なんだよね？」
そう聞いたら、彼は少しだけ驚いた顔をして、
「誰がそんなこと言ったわけ？」
とか、逆に聞き返してくる。
「だって瑠璃子さんは、まだ渉さんのことが好きだった言ってたし
２人でクリスマスはお泊まりだったんでしょ？」
「あれは…、訴えるって言われたから仕方なく
泊まったのも別々の部屋でだし」
どういうこと！？
さっぱり意味がわからないんだけど。
「じゃあ、瑠璃子さんのことは好きじゃないの？」
「言っただろ
俺は人を好きになれないって」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1295人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まいまい(プロフ) - あー、面白すぎます！！今頃この作品に気づきました。渉さんが愛に気づくことが出来ますように。こういうストーリーに入り込んだのは初めてです。とても面白くて、大好きなお話です。 (2021年5月4日 7時) (
レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - keitoさん» 確かに！なんかその２人、しっくりきますよね！言われてみればって感じで納得です！ (2018年12月20日 13時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - saryuさん» はじめまして。コメントありがとうございました。今のところ毎日更新ですが、いつ止まっちゃうかわかんないんで、ちょっとドキドキしながら書いてます(/ω＼) (2018年12月20日 13時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
keito(プロフ) - 好きすぎて実写化するならば…と、役者を思い浮かべてます。まずは主人公ちゃん。ガッキー、はるさん…うーん。なんて考えてたらシリアスなシーンでサスペンスかよってつっこんでしまいました。緩急が心地いい(*´ω｀*) (2018年12月19日 11時) (レス) id: 91adf91c90 (このIDを非表示/違反報告)
saryu(プロフ) - はじめまして、毎日ワクワクしながら更新待ってます。 (2018年12月19日 1時) (レス) id: 1be03817b0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わかめ
| 作成日時：2018年11月16日 8時
