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「前はね
でも今は違うから
できれば渉さんのことを嫌いになりたい
それなら平常心で過ごせると思うから」
ここまで言った時点で、私はかなりスッキリしていた。
なんだ…、最初からこんな風に思ってることを言えばよかったんだ。
何で彼の言いなりになって、我慢ばっかしてたんだろう。
「俺は…、Aとは仲良くやりたいと思ってる
Aが困ってる時は助けたいし、寂しい時は話を聞くし、
ある意味、友達みたいな」
「できないよ、そんなの」
「できると思う
俺のことを恋愛対象に思わなきゃいい」
そうしようとしてるよ。
なのに勝手に近付いてきて、私を混乱させてるのは渉さんじゃん。
「…まあ、Aが嫌がってるっていうのは、よくわかった
Aの言う、形式上夫婦のビジネスパートナーっていうのは、俺の望んでた形だから
Aがそうしたいなら、それでいいよ」
彼はそう言うと、そのまま席を立った。
「洗い物はしとくから、もう寝れば？」
正直、私がいつ寝ようが、彼にに指図なんかされたくないから、その言葉を無視してテレビをつける。
なのに彼は、そんな私に、
「…ごめん
ちゃんとわかってるから
俺がAを不幸にしてるってこと」
やけにしおらしく謝罪してきた。
「どうしても辛くて苦しいなら、離婚してもいいと思ってる
もちろん仕事の条件は今のままで」
離婚…？
仕事の絡みがあるから、離婚は絶対に出来ないんだと思ってた。
ふと思い立った。
私はいつも彼に不満をぶつけてばかりだけど、彼はどう思ってるんだろう。
きちんと聞いたことがなかったな。
「渉さんはどう思ってる？この結婚」
そう訊ねたら、彼は食器を片付けてる手を止めて、じっとこちらを見据えてきた。
「渉さんだって嫌だったでしょ？
こんな結婚」
なのに彼は、何も答えてくれない。
ただ、考え込むように動きを止めているだけ。
「今だって、この生活にストレスを感じてるんじゃない？
私は文句ばっかだし」
「ストレスというか…」
そう言いかけて、彼は一呼吸置いた。
「今まで、自分と会社のことだけを考えて生きてきたから、
自分以外の人を心配をするとか、初めてで
そういうのが、少しストレスなのかもしれない」
「私の何が心配？
そんなに迷惑かけてる？」
「多分…、Aに罪悪感を感じてるから、気になるのかもしれない」
そう言ったきり、彼は洗い物を済ませると自室へ戻ってしまった。
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まいまい(プロフ) - あー、面白すぎます！！今頃この作品に気づきました。渉さんが愛に気づくことが出来ますように。こういうストーリーに入り込んだのは初めてです。とても面白くて、大好きなお話です。 (2021年5月4日 7時) (
レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - keitoさん» 確かに！なんかその２人、しっくりきますよね！言われてみればって感じで納得です！ (2018年12月20日 13時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - saryuさん» はじめまして。コメントありがとうございました。今のところ毎日更新ですが、いつ止まっちゃうかわかんないんで、ちょっとドキドキしながら書いてます(/ω＼) (2018年12月20日 13時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
keito(プロフ) - 好きすぎて実写化するならば…と、役者を思い浮かべてます。まずは主人公ちゃん。ガッキー、はるさん…うーん。なんて考えてたらシリアスなシーンでサスペンスかよってつっこんでしまいました。緩急が心地いい(*´ω｀*) (2018年12月19日 11時) (レス) id: 91adf91c90 (このIDを非表示/違反報告)
saryu(プロフ) - はじめまして、毎日ワクワクしながら更新待ってます。 (2018年12月19日 1時) (レス) id: 1be03817b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2018年11月16日 8時
