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「じゃあ今から私と若葉さんは、使用人だの奥様だの一切抜きの関係になったとしたらどう？
私のこと、嫌いでしょ？」
彼女はしばらく考え込んだあと、
「嫌いではないですけど…」
そう前置きしてから、
「まあ…、気に入らなくはあります」
やっぱりハッキリと肯定した。
「誤解しないでいただきたいのは、私は奥様が誰でも気に入らないってことなので
奥様個人を否定するつもりはさらさらありません」
使用人って、こんなに主人にズケズケとものを言っていいんだっけ？
彼女の言葉遣いは時代錯誤なくらいに丁寧だけど、言ってることはけっこう手厳しい。
「じゃあその、気に入らない理由って何？」
「奥様は渉様のことをよくご存じではないですよね？」
「…まあ、ほとんど知らないけど」
「じゃあ、渉様に婚約者がいらしたこともご存じないのですか？」
は…？
婚約者がいた？
そんなの、ご存じないよ！！
「別に恋愛感情があっての婚約ではありません
奥様と同じで、会社同士の繋がりで親同士が決めたものなんですが…」
そう言いかけて、彼女は話すのを止めてしまう。
「何？」
「その婚約者の方は、ものすごく控えめな方でお優しくて、私もお慕いしておりましたが、
たぶん渉様も、その方のことを非常に気に入っておられたのです」
「じゃあ何で、その婚約はうまくいかなかったの？」
「奥様が現れたからです
その方の会社と、奥様の会社とを天秤にかけた結果、奥様の会社の方が断然メリットがあることから、奥様が選ばれたわけです」
…なんとなくわかってきた。
彼と彼女が私のことを疎む理由が。
たぶん彼はまだ、その婚約者のことを想っているのかもしれない。
翌日の朝、出勤しようとエレベーターを待っているところで、彼と出くわした。
「今から出勤？」
私が今からどんな行動をしようが全く興味もないって顔をしてるくせに、わざわざそんなことを聞いてくる。
「そうです」
「迎えの車に一緒に乗ってく？」
…は？
一緒に出勤ってこと？
「夫婦で同じ会社に出勤するのに、俺だけ車で出勤するって不自然じゃない？」
なんだ、そういうこと？
意外に他人の目を意識するんだね。
「大丈夫です
電車の定期を持ってるので」
そう言ってるのに、彼は私の答えなんてまるで無視して、本当に車に乗せてしまった。
…ねえ、今どんな気持ち？
好きでもない人と結婚して、好きでもない人を愛してるふりをして過ごす生活って。
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まいまい(プロフ) - あー、面白すぎます！！今頃この作品に気づきました。渉さんが愛に気づくことが出来ますように。こういうストーリーに入り込んだのは初めてです。とても面白くて、大好きなお話です。 (2021年5月4日 7時) (
レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - keitoさん» 確かに！なんかその２人、しっくりきますよね！言われてみればって感じで納得です！ (2018年12月20日 13時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - saryuさん» はじめまして。コメントありがとうございました。今のところ毎日更新ですが、いつ止まっちゃうかわかんないんで、ちょっとドキドキしながら書いてます(/ω＼) (2018年12月20日 13時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
keito(プロフ) - 好きすぎて実写化するならば…と、役者を思い浮かべてます。まずは主人公ちゃん。ガッキー、はるさん…うーん。なんて考えてたらシリアスなシーンでサスペンスかよってつっこんでしまいました。緩急が心地いい(*´ω｀*) (2018年12月19日 11時) (レス) id: 91adf91c90 (このIDを非表示/違反報告)
saryu(プロフ) - はじめまして、毎日ワクワクしながら更新待ってます。 (2018年12月19日 1時) (レス) id: 1be03817b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2018年11月16日 8時
