Troubled persen

九話 ページ10

成瀬side



口々にボクの愚痴を言うメンバー



狭き門を潜り抜けて



オーディションに合格したからといっても



やっぱり人間なんだよ




人間は


人間は陰口を言う


人間は仲間はずれにする


人間は群れてばかり


人間はとても醜い





それは誰よりも知ってるんだ



幼い頃から汚い大人達の心の声を聞き



その時にボクはもう穢れてしまった



純情なんて消え失せた



小学生になった頃には"先生"という名の



化けの皮を被った汚い大人の醜い部分を


たくさん聞いてきた



いつも笑顔を浮かべてた先生の内心は


生徒の愚痴ばかり


ボクの目の前で笑っていた時も


ボクの悪口を心で言っていた





それから、もう



誰も信じれなくなったんだ





優しい声なんてかけられたことがなかった



あの、押し花の本をくれた


お兄さんしかいなかった



ほんとに心の底からボクを心配して



同情してくれた




なのに……




やっぱりボクには








集団というものは向いてないらしい









─成瀬さんってほんとに無愛想、感じ悪─



─あの子怖い……─



─無表情って……ロボットじゃん─



─目ェ死んでんじゃん─





思わず叫び出しそうだった




ドア越しから聞こえてくる



メンバーの心の声



感じ悪い？



ごめんね、感じ悪くて。



でも、ボクはボクだから


自分を曲げたくない




怖い？


それはボクの耳のことかい？


それともオーラ？


それともまるで吸血鬼のような


八重歯かい？



ボクは恐怖を覚えるものなんていくらでもある


だから、もう慣れてるよ



無表情？ロボット？


ごめんね、表情筋


あんまり動かせないんだ



だから笑顔も引き攣るし


泣いたって無表情


喜んだって無表情


楽しんだって無表情





目ェ死んでる？



あぁ、死んだ魚の目でしょ？



知ってるのよ、そんなこと



お前に言われなくたって




表情筋も動かない上に目まで死んでいった





ね？



ボクには嫌われる要素は盛りだくさんなんだ









申し訳ないけど



あんたらと仲良しこよしで



つるもうなんて気、一切ないから



だって



.






,




，




仲良くつるんだらまた悪口のオンパレードでしょ？




そんなの



慣れてるけど







心は傷つくことに慣れてくれない







next……

十話→←八話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す