詰め合わせヒーローズ！ (ページ2)

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▽轟焦凍△ ｱﾆﾒ派ﾈﾀﾊﾞﾚ注意ページ2

自室のベッドに横たわり
手元の液晶を見て、思わず笑みがこぼれる。

映し出されたのは、轟とのトーク画面。

視線の先には他でもない、
〝今日の夜、会えないか？〟というメッセージ。

用件だけをまとめた彼らしい文面だ。

実のことを言ってしまえば、今すぐにでも会いたい。

しかし、トーク画面は〝九時半に階段のところで待っている〟
という文が続いているのであった。

チク、タク......

部屋は時計の針の音で満たされている。

こんなに時間の流れが遅く感じるのははじめてだ。

スマートフォンの画面を覗き込んだのは、これで何度目だろう。
液晶に映し出された9:20の文字。

少し早く行ってもばちは当たらないはずだ。

ギシギシ、と音を立てながらベットから起き上がる。
一度背伸びをした後、鏡の前で服装を整えた。

廊下に出て、驚いた。
４階には人の気配がなにひとつしない。

いつも物音が聞こえてくる向かいの部屋の爆豪くんも、切島くんも。
壁越しに物音が伝わってくるお茶子ちゃんも美奈ちゃんも。

こんなに静かだと、なぜか緊張する。

トクトクと早くなる鼓動を感じつつ、階段を見上げた。

轟くん、まだかな。

視線を手元に落とす。
その瞬間、ふいに聞こえた愛しい彼の声。

「A、待たせたな」

風呂上がりなのか、いつもより髪の毛がぺんしゃんとしていて
いつもと違う彼に無意識に顔が赤くなる。

それを誤魔化すように口を開いた。

「どうかしたの？」

彼から会いたい、と言ってくることはめったにない。
そんなときは大抵何かあった時だ。

「いや.....無性にAに会いたくなってな」

想像していた言葉とは全く違うことが返ってくるもんだから
口がおぼつく。

なにか話そうと頭をフル回転させたところで思い出した。
たしか今日は、女子の皆で透ちゃんの部屋へ集まろうと言っていたはずだ。

ずっと楽しみにしていたのだけれど、いまこの瞬間には変えられない。

なにも連絡しないのは流石にまずいかと思い、
ジャージのポケットからスマートフォンを取り出そうとする。

しかしその手はポケットの中で空を切るのだった。

なにか察したように轟くんは自分のポケットを漁り始めた。
そして出てきた、轟くんのスマートフォン。

ありがとう、そう言って受け取るが肝心のパスワードがわからない。
困ったように眉を下げれば、轟くんは何食わぬ顔で爆弾を落とした。