４４話目 ページ44
「あ！美味ぇ！食いにくいけど。」
瀬呂は落とした天かすを拾いながら、ニカッと笑う。
「んだこれ...どうしてもこぼれんじゃねぇか。」
「後で掃除すっから気にすんなよ、爆豪。」
「私も掃除...手伝うから！」
Aは食い慣れてるからか、器用に上手に食べていく。
「これ、くじ引きで当たったら卵２個やからね。」
「それだけで腹膨れるじゃん？」
「まぁね。でも子供の時は嬉しかったんよ。こんなチープな食べ物が...。」
Aは上鳴に話しかけながら、タコせんべいをまた５枚出した。
「次は...たこ焼きせんべい！」
タコせんべいを半分に折り、たこ焼きを３個乗せ、ソースとマヨネーズをかけてもう半分のタコせんべいでサンドする。
「はい、どうぞ。」
テキパキと５個作って、俺らに差し出してきた。
「ほんまはさ、こんな良いたこ焼きじゃなくて、タコ入ってる？位の粉だらけのたこ焼きのが思い出の味なんやけど...。」
「うへぇ、ビジュアルは微妙〜。」
「確かにね、でも美味しいって、上鳴。」
俺らは恐る恐る...食べ始める。
「...食いにくいっつうの。」
爆豪が顔を顰めながらかじり付き、Aは俺らの姿を見て苦笑いを浮かべた。
「...意外と美味ぇ！な？切島！」
「これ...小腹が空いた時に食いてぇな。」
「部活帰りに買ってる子多かったよ〜！おばちゃんの機嫌良かったらたこ焼き４個乗せてくれたりするねん。」
「なんつうの...何か関西！って味がする！」
「たこ焼き＝関西のイメージになるよな。」
さっさと食べ終わった爆豪が、手に付いたソースを舐めながら答える。
「うーん、粉モン文化は大阪やけどね。ソースとマヨネーズ最強って感じ。」
「な、Aってさ、たこ焼き焼けんの？真ん丸く。」
「うん、焼けるよ！くるくるって！」
上鳴の顔を見ながらたこ焼きをひっくり返す真似をした。
「でも...鉄板とか無いから無理〜。出来るならもう作ってあげてるよ。」
「その為だけに買うわけにもいかねぇしな。」
「そやねんな、切島。まさか八百万さんに作っても言えんしな〜。」
「アホか、んな事に個性使わせんな。」
「うるさいな！わかってるわ！」
爆豪にあっかんべーをして、フンッと顔を思い切り背ける。
「は...ブッサイクな顔...。」
「ムカつく！爆豪〜！」
「A！次は...ミルクせんべい！？」
怒り出したAに、瀬呂が練乳を手渡して話しかけた。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2017年7月14日 19時
