３３話目 ページ33
Aと２人きりになるのは平気なはずなのに...今日はしきりに喉が渇いてしまう。
「喉...乾かねぇか？」
俺が聞くと「いらん。」と首を振るA。
「お、俺も...風呂入ってくっから。」
あまりの緊張に堪らなくなった俺は...浴室に逃げ込んだ。
洗面のかごの中には爆豪の衣類。
その上に俺の洋服を脱ぎ捨てて浴室に入った。
「は？...クソ髪！何勝手に「もう、緊張してたまんねぇんだよ！Aは話さねぇし、何話せば良いのかわかんねぇ！」」
「近寄んな！きめぇわ、くそが！」
「わっ、シャワーかけ...ブハッ！」
爆豪がシャワーの水流を強くして俺にかけてくる。
「ったく...んな緊張してんなや！情けねぇな、クソ髪！」
俺にシャワーを手渡し、濡れた髪をかきあげながらバカにした様な顔で浴室を出て行った。
「...情けねぇ...か。」
シャワーを頭から被ってため息をつく。
「...さっさと出て来いよ？」
浴室のドアを薄く開けて爆豪が声をかけてきた。
「...お、おう。」
返事をして俺は、急いで全身を洗い上げる。
「...バスタオル...２枚しかねぇのか。」
浴室を出てバスタオルを手に取ったものの、それを置いてフェイスタオル２枚で髪と体を拭いていく。
後でAが風呂に入るのなら...困るだろうと思ったからだ。
(...爆豪はＴシャツと下着だけだったな。)
浴室を覗いてきた時の爆豪の服装を思い出し、俺もそれだけを身に付けて浴室から出る。
「...私も...お風呂...入ってくる。」
俺と入れ替わりにAが小走りをして浴室に入って行った。
爆豪は平然とした顔でソファに座っている。
「おめぇ...さっき緊張するっつってなかったっけ？」
「あ？んなもん風呂入ったら吹っ飛んだ。」
「俺...何か飲むわ。」
冷蔵庫を開けて中を物色していると、「コーラ寄越せや。」と爆豪が手をクイクイと動かしながら言う。
「...コーラな。俺は...お茶で良いか。」
コーラを手渡して、俺もソファに腰を下ろす。
しばらくするとAがバスタオル1枚で浴室から出て来て、俺らの方を一切見ずにベッドに潜り込んだ。
「あの...来て？」
布団の中から手だけを出し、俺と爆豪に手招きをする。
「...わーった。おら、クソ髪。」
爆豪がベッドの方へ歩いて行き、俺は深呼吸を一つしてから後に続く。
「鋭児郎...下着のリボン...解いてな。何かリボンを...と思って...。」
Aは震える声でそう言うと、そっと布団をめくって見せてきた。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2017年7月14日 19時
