爆豪派閥の紅一点３【切島鋭児郎】 (ページ16)

今日:5 hit、昨日:4 hit、合計:86,044 hit

１６話目ページ16

「...髪伸びたね。切りに行かんの？」

風呂上がりで下ろしている髪を触りながらAが聞いてきた。

「今度の休みに切りに行く予定。」

「ふーん。長いのも似合ってるのに。」

「あんま長いとさ、うまく髪立たねぇかんな。」

「そっか。」

「...っ！」

Aの手がうなじにそっと当たり、体がビクッと跳ね上がる。

「クソ髪...てめぇ、何感じとんだ？」

その姿を見た爆豪がニヤニヤとした顔を俺に向けてきた。

「ちげぇ！変な事...言うなよ！」

「あ、くすぐったかったん？」

「...おう。」

俺が頷くとAは髪から手を離し、よしよしと撫でてくる。

「勝己は長いのあんま似合わなさそうやね。短い方がかっこいい。」

「伸ばした事...ねぇかんな。」

ベッドに寝転んで伸びをしながら、眠そうな声を出した。

「小さい頃からその髪型？」

「ババァが色んな髪型させようとしやがったが...結局この髪型に落ち着いた。」

「そうなんや。小さい頃の勝己、可愛かったやろな？」

「んなの自分ではわかんねぇだろが。」

ベッドに腰を下ろし、顔を覗き込んだAの頬に手を伸ばす爆豪。

「鋭児郎の小さい頃も見てみたいな〜。勝己、くすぐったい。」

「...可愛くねぇよ。」

「そうかな？今度帰省したら、２人共写真持って来てよ？」

「めんっどくせぇ事言うなや？」

「ん〜、覚えてたらな？」

「うん、わかった。な、鋭児郎？髪結ばせて？今の長さなら結べそう。」

スルッと自分の髪から髪ゴムを引っ張って、俺に近付いてきた。

「は？勘弁してくれよ！女じゃねぇのに！」

「似合うって！ちょっとだけ！」

背中にもたれ掛かって髪を手で撫でてくる。

シュッと俺の髪をまとめると、髪ゴムで結んだ。

「あ！可愛い！似合う！」

ササッと手櫛で前髪を下ろしながら目をキラキラとさせる。

「...Aだから怒んねぇだけだぜ？」

「ん、ありがと。勝己、見て！似合ってるやんな？」

「...それ似合ってるっつうんかよ？」

半笑いで俺を見て、ククッと笑い出した。

「意外とベビーフェイスやから似合ってると思う。可愛い！」

「可愛いは褒め言葉じゃねぇっつったろ？」

頬を軽くペチ...と叩くと、「かっこいいで？」と手を握り締めて笑う。

「取ってくれよ。引っ張られて痛ぇ...。」

「慣れてないと痛く感じるんかな？」

俺の背後に周り、肩に顎を乗せながら髪ゴムをグッと引っ張る。

俺のシャンプーの香りに混じって、Aの甘い香りが鼻孔をくすぐった。