１５話目 ページ15
「あ？Aじゃん！？A〜！」
上鳴がAの姿を見つけて駆け寄って行く。
「上鳴！？」
驚いた顔をして、手に持った商品を後ろ手に隠した。
「何買うんだよ、A？」
「え！？関係ないやろ...もう。先に払ってくるわ。」
そう言って俺らから離れると、レジの方に歩いて行く。
「アホ面...見られたくねぇもんも...あんだろ？」
「見られたくねぇ...あっ、あー！」
「だからわざわざ別行動してんのに聞いてやんなよ、上鳴...。」
俺ら３人は察した顔をしてAの後ろ姿を見た。
「いつもこう一緒に居るとさ、女だけど、女だっての忘れそうになっちまうんだよな。」
ハハハ...と頭をかきながら上鳴は苦笑いをする。
「ったく、気ぃ使ったれや...ちっとはよ。」
「え！爆豪...気ぃ使ってんの？爆豪が！？」
「んだ、その言い方？俺をどんな目で見てやがんだ！？」
上鳴の腕を掴み、ギリギリと締め上げていく。
(ま、俺らは気ぃ使う...とはちげぇけどな。)
２人がじゃれてるのを呆れ顔で眺めているとAが戻ってきて、「遊んでんの、こいつら？」と俺に聞いてきた。
「仲良くて良いじゃねぇか。行こうぜ、A。」
「切島...助けろよ！腕...もげる...。」
「もげとけや！アホ面ぁ！」
「もー、何してん？行くで、爆豪、上鳴！」
Aは楽しそうに笑って、２人に手招きをする。
「あ、私もシャンプー無いんよな。２階行っても良い？」
ギュッと俺のシャツを掴んできたAから、ニトロとはまた違う甘ぇ香りが匂ってきた。
「...香水つけてんのか？」
「え？付けてないよ。柔軟剤かな？」
そう言いながらＴシャツを引っ張り、俺の方に伸ばしてくる。
「...甘ぇ！」
「麗日さんに試供品貰ったから使ってみたんやけど、甘いよな〜。」
「どれどれ？んー、甘過ぎじゃね？」
上鳴もAの服を匂って眉を下げた。
「変な匂いつけてんなや、クソチビ。」
「うるさいな、貰ったから使っただけやもん。も！重たいって！」
Aの頭の上に肘を置いてもたれ掛かる爆豪。
「Aは何も付けねぇ方が似合ってるぜ？」
「うわ、上鳴...イケメンな顔しなや。無駄な男前...。」
「無駄って言うなよ！案外こたえるんだかんな！」
「メンタル弱っ！うぇ〜い！」
「A、上鳴あんま苛めんな。こいつガラスのハートなんだからよ。」
「がっ、ガラスのハートなんっ！？」
Aは上鳴の背中を叩きながら大声で笑い、上鳴はげんなりとして固まっていた。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2017年7月14日 19時
