手の平返し ページ42
気付けばすっかり夏の真ん中で、毎日がうだるような暑さが続いた。
夜になってもなかなか気温が下がらなくて黙っていても汗が額を伝っていく。
｢今日はいったい何度ですか…そろそろブチ切れそうなんですけど私…｣
｢そんなことしたら余計に暑くなるだけですよ｣
隣で汗を拭いながらそんなことを言うミンソクさんに口を尖らせた。
｢だってこんなの地獄じゃないですか…何もやる気が起きない…｣
｢まあやる気は起きないですね、なるべく動きたくないし…お、花火？｣
ミンソクさんが小さく声を上げた。
視線の先にはお店のガラスに貼られた花火大会の大きなポスターがある。
毎年開催されている割と有名な花火大会だ。
大学の頃に一度元彼と行ったきりで、毎年音だけを聞いて夏だなぁ、と思うくらいだった。
｢そっか、もうそんな時期なんですね…去年は雨で中止でしたっけ？｣
｢そうなんですか？俺はこういうのあんま行かないから気にしてなかったなあ｣
｢へえ…｣
少し妄想をしていた。
ミンソクさんと2人で花火を見る。妄想だけでもドキドキする。
｢Aさんは行くんですか？｣
｢いや、数年前に1度行ったくらいで…人多くて挫けそうになりましたよ！｣
でも、でもでもでも。
ミンソクさんともし行けるなら。
ちょっと頑張っちゃうかもしれない、なんて。
｢浴衣着たんですか？｣
｢あ〜着ましたね、着て欲しいって言われたから｣
もう絶対に着ないよ、あんなに動きにくいもの。
足も痛くなるしなんだか息苦しいし出来ればもう二度と着たくないくらいだ。
｢へえ〜、俺もAさんの浴衣見てみたいな｣
｢着ましょうか！？｣
食い気味でそう返した。
動きにくくたって足が痛くなったって息苦しくたってミンソクさんが御所望ならばなんなりと。
｢着てくれるんですか？Aさんが浴衣着てくれるなら花火大会行くのもアリだな〜｣
｢えっ！着ますよ全然！！実家から引っ張りだしてきますよ！？｣
もしかしてもしかしなくても、ミンソクさんと花火に行ける流れなのでは？
｢ほんとに？来週空いてるんですか？｣
｢めちゃくちゃ空いてるんですよその日！｣
｢あはは、めちゃくちゃ空いてるって！じゃ、行きましょうか？｣
｢い、行きますー！わー！｣
素で喜んでしまったけれどもう知らない、ミンソクさんと花火大会に行けるなんて夢みたいだ。
｢楽しみにしてますね｣
ああ、私は今世界一幸せなのではないだろうか。
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みつき - オトナの恋物語という感じで私には苦くて酸っぱくてそしてほんのり甘かったです。お互いを思いやったり気持ちを押し殺したりリアルで切なかったです。ありがとうございました！ (2019年6月12日 4時) (
レス) id: bd38120f18 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ソルさん» お返事遅れて申し訳ございません！わ、読み返してくださったんですね(;_;)イムさんのことまで好きだと言ってくれてめちゃくちゃ嬉しいです...番外編もツイッターになってしまいますがよろしくお願いします！！ (2018年8月23日 18時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
ソル(プロフ) - 最初〜読み返してしまいました！しうちゃんとくっ付いて嬉しかった反面、べくが切なくて...でもきっとベクをたくさん愛してくれる相手に出逢えますよね^ ^イムさんも、なんか好きでした！その後の2人とベクイムさんも楽しみにしています♪Kさんお疲れ様でした！ (2018年8月15日 14時) (レス) id: 0f050d23ca (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - あまいくりーむさん» いつもコメントありがとうございます！そんなふうに言っていただけて本当に嬉しいです...息抜きや楽しみになれていたなら本望です！本当にありがとうございましたー！！ (2018年8月11日 12時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - みんみんさん» コメントありがとうございます！ミンソクさん派だったのですね！結末に満足して貰えたようで嬉しいです(^^)こちらこそ最後までお付き合い頂いてありがとうございました！またどこかでお会い出来れば嬉しいです！ (2018年8月11日 12時) (レス) id: 16d69035ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K
| 作成日時：2018年5月26日 23時
