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額の汗を拭って息を吐く。故郷はどちらかと言えば寒い国だったので、ここの気温には未だに慣れない。見渡す限りの砂漠を見た時は色々と複雑な感情を持ったものだが、旅行だと思えばまあ、楽しいものだ。
いくら居心地のよい籠であろうが、全く運動しないのも陽の光を浴びずにいるのも体には毒なので──久しぶりにレインディナーズを離れた私は、ナノハナの街をのんびりと散歩していた。
使用人へ彼に出掛ける旨を伝えるようお願いしているし、そもそもかん禁されている訳でもないので、こうして出歩く事は少なくない。
丸三日を掛けて完成させたあの海の絵は、今もまだ汚れた丸椅子の前に置かれている。
「──こんにちはーっ」
「おっ、Aちゃんじゃねえか! 久しぶりだな、元気してたかい？」
「おかげさまで。何かおすすめはある? 買い物に来たの」
「そりゃ丁度良い、アンタに似合いそうなのが入ったんだよ」
立寄ったのは一番のお気に入りの雑貨屋だ。何度も来ているものだから店主とはすっかり顔馴染みになってしまっている。
ほらコレ、と彼が手に乗せて差し出したのはネックレスだった。長方形の小ぶりな宝石が光を反射していてとても綺麗だ。勿論、カラーは深い緑である。
「素敵ね……、買うわ。おいくら?」
「いやいい、これァ俺からのプレゼントだ! 金の代わりに、またクッキー持ってきてくれよ」
「ま、ありがとう。店主さんお気に入りのチーズケーキと一緒に持ってくるわね」
「そりゃ楽しみだ!」
軽快に笑う店主からネックレスを受け取り、そのまま首にかけてしまうと、小さなエメラルドは胸元でキラキラ煌めいた。
ご機嫌な私の表情に満足したらしい店主はまた笑って、またいつでもおいでよ、と言ってくれる。
この街の、温かな優しさが好きだ。すれ違う顔馴染みの人は皆笑顔で声をかけてくれる。活気に溢れ、多くの人で賑わう店通りをのんびり散策する休日は、インドア派な私にとって数少ないお気に入りの外出先なのだ。
しかし、残念なことに港町であるここナノハナは──厄介事も多かった。何せ港、海が近くにあるのだから、無法者が上陸するには最適過ぎる。だから、そう。
「キャーーーーーッ!!!」
「金目のモンと食糧を寄越せ!!!」
「俺たちゃ海賊だぁ!!!」
こういうおバカが来てしまうのだ。
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おはよ - めっちゃ面白い作品でした！最高です (2023年3月20日 22時) (
レス) @page44 id: d4f6705fb9 (このIDを非表示/違反報告)
白鯨(プロフ) - みうしさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます! 私としましてもまだ書きたいものが幾つかありますので、またぼちぼち気まぐれに更新しようかと思います。何卒気長にお待ちください。 (2022年11月13日 23時) (レス) @page32 id: 7a595430fd (このIDを非表示/違反報告)
みうし(プロフ) - 大好きな作品が終わってしまって寂しい〜〜泣泣と思っていたら番外編も書いてくださるんですか😭😭是非読みたいです……！！ (2022年11月12日 8時) (レス) id: f1ae5cae79 (このIDを非表示/違反報告)
愛ってなんや？ - 面白いです！！続き待機してます！！ (2022年10月23日 14時) (レス) @page19 id: 027cc676f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白鯨 | 作成日時：2022年5月25日 10時
