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体育祭が終わり、あっという間に職場体験、期末テストも終わった。
この数ヶ月、紆余曲折ありながらも確実に成長できている自分自身を感じながら、何かと個性的なクラスメイトと共に、僕はヒーローへの道を一歩一歩、僅かながら着実に進んでいることを実感する。
―――そう、
彼女と共に夢見た、ヒーローへの道のりを―――。
あの日から、彼女は変わった。
笑顔はどこか儚げで哀しく、口数は減り、ずっと病室の窓を見つめるようになった。
輝きのない瞳で空を見つめる彼女は、何を考えているのか分からない。
週に二日の見舞いを続けて暫く、最近は目も合わなくなってしまった。
それでも、彼女は毎回、僕へ学校での出来事やクラスメイトのことを尋ねては、話してほしいと言う。
時折可笑しそうに静かに笑う彼女が、今にも消えてしまいそうで、息が詰まるような思いが何度も僕を襲った。
「この手術が成功すれば、完治する可能性は十分にあるんだ」
「！」
休日。
開きっ放しの病室の扉へと伸ばした手が、彼女の父の声で半端に止まる。
初めて聞く完治の可能性。
唐突に知らされた希望の言葉に、目の前が涙で揺れた。
―――しかし
「なのに、なんで『考える』なんて言ったんだ？！
成功する確率も高いって、向こうの先生も言っていたじゃないか！完治すれば、また前みたいに普通に生活することだってできるんだぞ？！緑谷くんとだって…っ」
悲痛な彼の声に、彼女は何も言わない。
ギシリとパイプ椅子の音がヤケに大きく聞こえた後、彼は絞り出すように更なる真実を口にした。
「このままだとお前…死ぬんだぞ…!」
「ッ！！」
ヒュッと喉から空気が漏れる感覚と共に、頭と心臓を鈍器で殴られたような痛みが襲った。
思わず口を手で覆って
言葉を、
懸命に……
「…ごめん、なさい…」
「…っ…もう仕事に戻るよ」
彼女の謝罪が携帯の着信音で掻き消えると、彼はパイプ椅子から立ち上がったようだった。
扉へと近づく靴音にハッとして、咄嗟に廊下の角に身を隠す。
扉を閉めた彼の背中が見えなくなるまで見送ってから、彼女の病室前まで戻った。
未だ衝撃でボーッとする頭で、僕は扉に手を掛けた。
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絵音(プロフ) - すごい好きです。主人公と 出久くんの本音を言い合うところとかほんのに好きです。素敵な物語を読ませてくれてありがとうございます…ッ！！！ (2019年5月22日 23時) (
レス) id: 740c8210f3 (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - 凄くあったかい良いお話でした！生きて欲しいと説得？してるところとかもう涙が止まらず泣きながら読みました！素敵なお話を有り難うございます！ (2019年2月19日 23時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソーカ | 作成日時：2019年2月14日 14時
