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改めて自分が無個性だということを伝えると、彼女は自身の個性を明かしてくれた。
わけだが。
そこで初めて、自分達は互いに名乗っただけで個性には一切触れていなかったことに気づいた。
僕自身は、聞けば必ず自分も言わなければいけない状況を避けてのことだと分かったが、彼女に関しては疑問でしかなかった。
何故なら彼女の個性『感覚操作』は、大体の人が羨むような強固性であったから。
聞けば自分からは決して言わないのだという。
聞かれたら答えるらしいが、内容は大まかにしか伝えないのだとか。
『個性って、そんなに重要ですかね？…ってソレで傷付いてきた緑谷くんを前に言うのは、少し酷だと思いますが…そんなモノより私は緑谷くんの好きなヒーロー談義とか、駅前のスイーツ食べ放題カフェのこととか、そっちの方が果てしない興味があったので』
『…変わってるね』
『そうですか？私の周りの人達は大体こんな感じですけどね…私じゃなくてさっきの彼らが変なんですよきっと。そんなことより昨日の『オールマイトとエンデヴァーについての考察番組』なんですけど！…って緑谷くん？！なんで泣いてるんです？！』
僕にとっては全てに近かった個性の有無が、彼女にとっては至極どうでもいい事なのだと知った。
この関係が壊れずに済んだという安心感と、彼女がこんな僕をなんの躊躇もなく受け入れてくれたことが、只々嬉しくて。
情けない程に泣きながら伝えた分不相応な僕の夢に彼女は唯一、笑うでもなく、憐れむでもなく、哀しむような応援もせず。
ただ一言
『え、何ですかその夢！君めちゃくちゃカッコイイですね！』
キラキラとしたあの時の眼差しを、僕は一生忘れることはないだろう。
そんな彼女にますます涙が溢れた。
そして中学二年の春の終わり、彼女は重い病を患った。
不治の病だった。
それでも彼女は学校に来続けた。
笑顔で。
―――辛い顔など、彼女は決して見せてはくれなかった。
中学二年の秋。
彼女と一つの約束をした。
『私、緑谷くんの
『……え？！それって…！』
『私も、ヒーローになります』
『〜〜っ』
この時には既に、僕は彼女に恋をしていた。
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絵音(プロフ) - すごい好きです。主人公と 出久くんの本音を言い合うところとかほんのに好きです。素敵な物語を読ませてくれてありがとうございます…ッ！！！ (2019年5月22日 23時) (
レス) id: 740c8210f3 (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - 凄くあったかい良いお話でした！生きて欲しいと説得？してるところとかもう涙が止まらず泣きながら読みました！素敵なお話を有り難うございます！ (2019年2月19日 23時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソーカ | 作成日時：2019年2月14日 14時
