story11 ページ12
夢を見ていた。
僕が、小学生の時の夢だ。
『ただいま、』
僕の声が聞こえる。
黒い、よく見るような変哲のないランドセルを背負った小さな僕が、リビングへ駆け込んできた。
小さい頃は、いつもこの家に帰ってくるのが嫌だった筈なのに、こんなに嬉しそうなのはなぜだろう。
走る小さな僕を追って、僕もリビングへと向かう。
『ただいま、____!』
「お帰り、真名。」
駆け寄る先には、僕の記憶にない、白い服を着た男の人。
洋服ではなく、和服に身を包んだ彼は、飛び付いた幼い僕を受け止め、綺麗に微笑んだ。
知らない……けれど、懐かしく切ない気分。
何処か不思議な雰囲気を纏ったこの人を、僕は覚えていなかった。
『あのねっ、今日ね、帰りに白い猫を見つけたの!!それでね、草原に白い蛇もいたんだよ!』
「そうか、良かったな。白蛇はな、神様の1人なんだ。だから、無理に追いかけたりせず、見つけたら敬うだけにしておきなさい。
いくら神と言えど、彼ら1人1人にその意識があり自覚を持っているかは分からないから、ね?」
『うん!あ、もう5時だね……』
ボーン、ボーンとなる時計。僕の家の時計は、12時ではなく5時に、音が鳴る。
確か、僕が変えたんだ。…………なんで変えたかは、よく覚えていないけれど。
立ち上がった彼に、僕はしがみついた。
別れを拒むように、ギュッ、と白いその服を掴み、動けないようにする。
「こらこら、真名。俺はそろそろ行かなくちゃならない。
真名だって知っているだろう?俺には、大切な家族がいて、しなくちゃならない仕事もある。」
『分かった…………、じゃあいつか、僕も連れてってよ!』
「あぁ、その時は歓迎しよう。俺の、ーー本丸に。」
あぁ、思い出した。彼は、僕の大切な人。
自分には家族がいると言うのに、僕の元に訪れ優しくしてくれる。
けれど僕を家族と言ってくれたことはない、酷い人。
彼は、何処かの本丸の審神者だった。
けれど初代ではなく、元は別の人のだった本丸を受け継いだのだ。
確かそう……、家族たちと一緒に眺める夜桜が、美しい本丸だと言っていた。
庭に咲く彼岸花が綺麗で、ご飯も美味しい所だと。
いつか消えてしまったけれど…………確かに彼は、僕の家族だった……。、
いつか会おうねと約束して、消えた。
それが嘘だと知らず、少年は生きた。
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梶屋 - 一番面白いとこで更新止まってる…………和睦の道はないのでしょうか。 (2018年8月24日 8時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
きつつき!(プロフ) - ロワです。さん» 同じですね!今後そう言った場面を入れていきたいと思っていますので楽しみに待って頂ければと思います! (2017年3月18日 23時) (レス) id: e777c39756 (このIDを非表示/違反報告)
ロワです。 - 私も抹茶やチーズ好きで、きのこ嫌いですよ〜!! (2017年3月18日 19時) (レス) id: 8d6b86ff12 (このIDを非表示/違反報告)
きつつき!(プロフ) - コメントありがとうございます!抹茶いいですよね……夢主くんと同じものが好きということは私と一緒((( がんばって更新しますのでどうぞよろしくです! (2017年3月6日 6時) (レス) id: e777c39756 (このIDを非表示/違反報告)
ヒビキ(プロフ) - 面白いです。夢主君の台詞が滅茶苦茶カッコイイ!きつつき!殿抹茶好きですか!僕も抹茶、大好きなんです!好きなものが一緒で、頬が緩んでしまいました(笑)次回楽しみにしています! (2017年3月6日 0時) (レス) id: 9ddb2aed53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きつつき! | 作成日時:2017年2月13日 22時