◆人質 2 ページ26
五人の足音がどんどん近くなってくる。
『早く行った方がいいわ! 皆がこっちに来る。』
?「…………。」
彼にさっさと行ってもらおうと、私は茂みのあたりを手で示そうとして……。
『……!?』
彼が私の手を取り、ぐいと引き寄せるのと、生垣の角を曲がって五人が姿を現すのはほぼ同時だった。
ザラ&ネッソ「お嬢様……!!/(人1)……!!」
?「お嬢様!?」
パール&リッチー「(人1)ちゃん!?」
五人が口々に私の名を呼ぶ。これはもしかしなくとも……。
……人質?
背後から左腕で抱え込まれ、身動きがとれない。
?「全員動くな。動いたら、この女を殺す。騒いでも、殺す。」
パール&リッチー「……っ!」
ザラ&ネッソ&?「…………。」
私が見知らぬ男に捕らわれていることに対し、ネッソが動揺を見せたのはその一瞬だけのことだった。次の瞬間には、落ち着き払った様子でちらりとザラと、その傍らにいる見知らぬ男性へと視線を送る。
二人はそれぞれ、そんなネッソの視線を受けて軽く顎を引いて頷いたようだった。さりげなく、ザラが後ろに一歩引く。動く、というほど派手な動きではないが、ネッソの利き手とは逆サイドをフォローする位置だ。
逆に、もう一人の男性はわずかに重心を下に落としたように見える。いつでも飛び出せる、そんな風に見える。格好からして、彼はきっとネッソと同じ騎士だろう。
……慣れてるわね。
自分が人質になっているのにもかかわらず、冷静にそんな事を思ってしまっていた。ネッソとその友人らしき人物に関しては、こういった事態にも対処し慣れているのかもしれないが……。
ネッソとザラのコンビネーションの良さに少し驚いたのだ。昔から二人が仲が良いのは知っていたが、こういった有事の際の対応までばっちりだとは思っていなかった。
……だから、冷静でいられるのかも。
事を大きくすることなく、まだなにも被害が出る前であるならば彼には逃げてほしかったけれど……。こうして見つかってしまったからにはそうもいかないだろう。
?「…………。」
この状況でも落ち着き払ったネッソたちとは対照的に、私を人質にとった彼はどうやらひどく追い詰められているようだった。引き寄せられた背中越しに、彼の焦燥が私にまで伝わってくる。
『…………。』
……ここで彼が自棄を起こして暴れたりなんかしたら、余計に大変だわ。それなら……。
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フフカ - はい!まってます今日もご苦労様でした。(^∀^#← (2016年4月13日 5時) (レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ありがとうございます! そうです、前とは少し内容を変えて書いてみました!! よくわかりましたね(^○^) これからも頑張りますので楽しみにしていてください!!! (2016年4月12日 22時) (レス) id: 23fff2c30d (このIDを非表示/違反報告)
フフカ - こんなに遅くからご苦労様です なんとなく今日も来ちゃいました!似ている小説だけど前とは違うので読んでます前より詳しく書いてあるのでとても分かりやすいです(#°∀°♭ 明日もまってまーす(笑) (2016年4月11日 22時) (レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ありがとうございます! 頑張ります(^○^) (2016年4月10日 20時) (レス) id: 23fff2c30d (このIDを非表示/違反報告)
フフカ - 分かりましたありがとうございます誰オチにするか決まったら教えてください これからも毎日応援してます!!ガンバデス (2016年4月10日 19時) (レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヒメア | 作成日時:2016年3月9日 20時