追想-TUISOU-１０ Secretな彼女番外編 (ページ45)

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「で？その彼女に子供ができました的な？」

「まぁ・・うん、そう」

「てか最低」

そう言って俺を見る

「いやほんと、それは」

「でもどうして彼女は言わなかったの？
妊娠してること」

「彼女、俺の事務所の後輩のお姉さんなんだわ
同級なんだけど
俺やその弟である後輩に迷惑かけるって思ったから、
一人大阪に」

「また大阪？
あはは縁ありすぎ」

「子どもころ、
そっちで過ごしてきたから、土地勘があって
東京から離れてるから
俺に気づかれないように生んで一人で育ててた
でも、逆に言ったら、
当時の俺はそれこそよく大阪に行ってたのにね」

「確かに、
で、どうして今更？養育費請求？」

「まさか、
たまたま仕事で一緒になったんだ、
もちろん、俺は、彼女のこと覚えてなかったし」

「覚えてないって・・・本当最低
何？脅迫された？」

「まさか
そんな人じゃないよ、
寧ろ、俺を避けてた・・・
子どもの父親もずっと最後まで黙ってたから
でも、なんだろ、俺さ、リンと別れてから
久しぶりに人を好きになったよ」

そう言うと

「なんだろ、ヤケる」

「マジで？」

「嘘、冗談」

「んだよ、冗談かよ
期待してたのに
で、ちゃんとお付き合いさせていただいて
蓋を開けたら子どもは俺の子どもだったってわけで
まぁ、自分の子どもでなくても俺は結婚してたよ
きっと」

「そっか。それは・・・
まぁ、世間では中々言えないね
幸せで何より」

そう言ったリンに
俺の現在を話したことを後悔した

「神様ってさ。いるんだね」

「何が？」

「いや、運命の悪戯っていうかさ
あ・・・」

そう言ってリンは
何かに気づき丘を見下ろした

「運命の悪戯？」

「あ・・うん、ちょっと待って」

そう言って立ち上がり
丘の下に向けて手をふると

葡萄畑の木の陰から赤いキャップをかぶった
丁度、自分の息子より少し小さい男の子が俺らに向かって手を振り返し

そして、さっき見たトラクターに乗り込んだ

ふふっと笑うリン
俺はリンの方を向くと
その顔は妻が子供たちに向ける顔と似ていて

鈍感な俺でさえも
察しが付いた

「あのさ・・今の男の子」

「あぁ、Leoって言うの
あ、日本人だから漢字表記だけど
私の息子
もうじき10歳になる」

え・・・
10歳

そして、俺を見て笑う

「誰かに似てると思わない？翔？」

「え？」

その意味深な言葉に
俺は過去が
さっきリンが言った
「運命の悪戯」という言葉とともに
フラッシュバックしてしまい
額に汗がブワッと噴き出た