追想-TUISOU-１０ Secretな彼女番外編 (ページ42)

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「そんな時、本当これは偶然なのだか、
それとも知っててなのか、
クライアントで、兄と同じ医師団の方がいて」

「それがさっきのポルトガル？」

「そう、って言っても
彼はポルトガルには一応、
居住しているけれど、
その当時は
中東から逃れてきた難民キャンプで活動していて
もしかしたら、
兄のことを何か知っているかもしれないって思って」

点と点が結びついていく

「でも、今でこそゆっくり考えたらわかるけれど
医者なんて五万といるわけで、
同じ医師団であるとは限らない
でも、彼は私にこう言ったの
チャンスは一度だけ
それの意味はその時はわからなかったんだけど」

「チャンスは1度だけ？」

「結局は、私をリセットするには
一旦その場から離れる必要があった
家のこと、仕事の事、未来の事
・・・そして翔とのこと」

「だから、あの時急に
ポルトガルに行くって言いだしたのか」

「全て、リセットしようって・・・
まぁ、それくらい私の中では追い詰められてた
少し離れたら、
おのずと答えは見えてくるかもしれないって思ったの
でも、まさか翔がトランジェットする時にいるとは
想定外だったけど・・・」

そう言って悪戯っ子のように笑う

「俺だってあの時必死だったんだ
ようやく気付いたというか、
俺がこの先一緒にいたいのはリンだけだってわかったから」

「ふふふ、なんだろう、ちょっと今の照れる」

「こっちは真面目の大真面目」

「わかってる、あはは」

そう言って、口をつぐみ

「わかってたよ・・・翔」

そう言って遠くを見た

「わかっていて、なぜ？」

今となってはどうしようもないことだ
でも、どうして、俺はこんなに聞きたいのだろう

「シャルルドゴールで会った時
一瞬気持ちが揺らいだのは事実
遠回りしちゃったけど、念願叶って
元に戻れたのに」

「戻れたのに？」

「戻れなかった」

「それはわかってる
じゃなくて、
どうしてって聞いてるんだけど？」

「あはは、日本から発つ時、
翔と電話で話たあと、
ポルトガルの彼に、電話したの
リスボンに着く時間を伝えようと思って
その時に先に少し聞いてみたくなったの、兄のことについて」

「彼は知ってた？」

すると軽く頷いたリン