追想-TUISOU-１０ Secretな彼女番外編 (ページ13)

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駅に着くと
パリよりも少し風まだマシに思えた

おそらく、台風より先に俺らがこのボルドーに到着したからだ

そこから、さらにタクシーで、20分ほど
街を抜けてる

外はパリよりももっと落ち着いていて、
ただこれから来る台風に備えてか、店は閉まっていて、
人通りも少なかった。

そしてやがてタクシーは、丘をゆっくりと上がりだし、
何もない土地の丘の上にある家のまで止まった

「とりあえず、中に入って」
そう言ったリンに後押しされて中へと入る

リンが、慣れた手つきで、スイッチをひねりあげると
薄暗いながらも明かりが灯る

俺は、広い玄関・・・
いやエントランスで立ちすくんでると

「どうぞ
すぐに暖房入れるから」

そう言って、さらに奥へと進んだ

「リン・・・」

俺が呼び止めると、
リンは、

「何？」

と振り返り俺を見た

「あ・・いや」

いろいろ聞きたいことが多すぎて、
何も言えなかった

俺は、
慌てて出国したのもあって、

小さ目のスーツケースを転がした

中に入り、一つ目の入り口のドアを開け
また、慣れた手つきで、電気をつける

「おじゃまします・・・」

俺は思わず、そう言って中に入ると、
リンはケタケタといつものように笑った

「んだよ」

「だって、おじゃましますって・・・」

「だって、そうだろうが、
人の家にあがるのに、おじゃまします以外の何があるんだよ・・・」

「確かに・・・言われてみたらそうだ
でもちょっと他人行儀すぎたから」

他人行儀過ぎると言った
リンに俺は少しばかりホッとした

「ここは？」

俺がそう聞くとすぐさま

「家だよ」

「あのさ、今のじゃ、トトロのメイと同じじゃねぇかよ」

「トトロだよ」

「なんでトトロになるんだよ
それはメイだろうが」

俺もおかしくて笑う

「それに見りゃわかるわ、
家だって。」

俺はとりあえず、今までと変わらない
リンが目の前にいることが嬉しかった

「え？翔なら、気が付かないかと思った」

「は？そこまでバカじゃねぇし」

「はいはい」

そう言って、笑いながら、
窓際にあるオイルヒーターのスイッチを入れた

外は、少しずつ風が強くなり
ヒューと音が聞こえ始めてきた

「さっきパリであった台風がおいついてきたみたい・・・」

そう言って、窓の外をみるリン