冷えた部屋 ページ5
「さむっ」
部屋に入ったものの、あまり外の寒さと変わらない俺の部屋
「悪いけど、しょうちゃんとこみたいにさ、全自動冷暖房完備じゃねぇし、床暖房でもねぇから
寒いからね」
振り返ってすぐ後ろににAにそう言うと
少し悲しげな目をしたA
しょうちゃんのことには、もうあまり触れて欲しく無さそうだった
それが、俺の中では、言ったことの後悔と、
もう俺だけのものなんだと言う少しばかりの確信を得る。
「あ・・いやごめん、別にそういう意味で言ったんじゃねぇよ」
そう言って、俺は先に靴を脱ぎ家に入る。
そして、ひとまず、パイを靴箱の上に置き
普段使うことがない、スリッパを棚から取り出し、
床に無造作に置く
「冷えっから・・・はいとけ」
そう言うと、
コクンと頷いて、靴を脱ぎ、そのスリッパに足を入れた
俺はそれを確認し、Aの顔をみると、
少し緊張した面持ちのAと目が合った
その目が俺の中でプチンとはじけ
思わず、俺の中で引き寄せてしまう。
そして、まるでAの存在を確かめるかのように、
片方の手で、肩、腰をゆっくり撫で強く抱きしめ、
Aの肩に顎をおいた。
「か・・・和？」
びっくりしたような声が俺の耳元で聞こえる
「何？」
俺がAの耳元でそう話すと
「・・・・」
だまってしまったA
「A・・・ごめんな」
「どうして謝るの？」
Aの声も、おそらく俺の声も２人今一番近いところで聞こえている
「・・・・１５年」
俺がそう話し始める
「１５年？」
「俺がさ、ちゃんと早くに気が付いてあげれていたらさ・・・
こんなにお互いに苦しまなくて済んだのに・・・」
そう言うと、
フルフルと微かに首を振ったA
１５年前・・・
様子がおかしかったAを学校帰りに追いかけて
俺らが幼い時からから「秘密基地」と言ってる神社の裏の祠で
「カズノコトガ・・・スキ」と涙ながらに言ってくれたAに
今思えば、どうして気がつかなかったのか・・・
あの日、きっとAはしょうちゃんと・・・・
なのに俺はAの気持ちを気づかないふりして、
遠くからAとしょうちゃんを眺めていた、
そう・・・
本当は俺のものに出来たはずなのに
なんども、Aは俺に言葉では伝えられない気持ちを
一生懸命、身体や行動で伝えてくれていた
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結愛(プロフ) - 和くんの立場を思うと、やるせないです。しょうくんに依存することでしか生きられない主人公に、少しだけ私と似た部分をかんじました。 (2020年3月3日 20時) (
レス) id: 790ab34727 (このIDを非表示/違反報告)
結愛(プロフ) - とても面白いお話でした。最後の3話から訳が分からなくなって、何度も読み返しました。和くんの中の主人公が好きという気持ち、しょうくんの部屋での出来事などは全部記憶からなくなってしまったということですよね。しょうくんと主人公の存在も和くんの中から消えた。 (2020年3月3日 20時) (レス) id: 790ab34727 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫姫
| 作成日時：2020年2月14日 21時
