濡れたまま ページ11
真っ白になっていく視界
ざーーーーーーという、一定の水音
そして、
今まで感じなかった濡れた衣服が身体に張り付くこの感覚
「あぁぁもう、嫌だ」
俺は何を言ってるんだ
悲しそうな目で俺を見るA
そして、とうとう
「嫌だんだよ、おまえがっ、」
Aの目が一瞬にして揺れ動いた
「嫌なの、お前から、その・・・・
しょうちゃんの香りが消えないのが、
俺は辛いんだ。
Aの身体にはまだしょうちゃんの香りが・・・
消えないんだ
俺の・・・俺のものなのにさ・・・・」
おそらく、その一瞬でA
数時間前、あの部屋での行為を思い出したに違いない
ベッドで・・・
ベランダで・・・
しょうちゃんが、まるでここは俺のテリトリーだと言わんばかりに
俺に見せつけ、残した香り
思い出した途端すぐだった・・・
がばっと、
音を立ててAが俺にしがみつくように、
抱きついてきた
俺の耳元で、濡れたAの髪が触れたのと同時に
スッ・・・スッ
と、鼻をすする音が聞こえた
俺はシャワーを離し、濡れた衣服のままのAを抱きしめた
そのシャワーの先は、一人でにまるで生きてるかのように、数回うねったあと
落ち付いたかのように、勢いよく湯は出たまま止まった
「和・・・消して・・・
全部、全部消して
そして・・・和の香りに染めてよ・・・」
わかってるんだ
わかってる
Aも苦しめられてきたんだ
だからAが悪いわけでもなんでもない
俺はAのその濡れた首筋に顔をうずめた
わかってる
これだけシャワーを浴びれば、
そんな香りなんて、とっくに消えてるに決まってる
でも、俺の中ではまだぜんぜん消えてなくて
顔を離して
そして、ゆっくり、その濡れたニットに手をかけた
「消してやる・・・」
俺は一気にその身体に張り付いた重たくなったニットを脱がし
そして、それを床に投げた
その横でシャワーが音を立てる
その露わになった鎖骨に唇を這わせ
手でAの濡れた髪を掬う
「全部・・・今から俺が消してやる」
鎖骨からそれまた濡れて、
この温度で紅くそまった唇に這わせて行く
そして、その唇に到達すると
軽く唇を押しつけ
そして、一旦離し、Aの顔を見る
濡れた張り付いた前髪を横によけ
「今から、全部消してやっから」
と今度は勢いよく、その唇を噛みつくように
キスをした
何度も・・・何度も・・・
俺の香りを移しこむかのように
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結愛(プロフ) - 和くんの立場を思うと、やるせないです。しょうくんに依存することでしか生きられない主人公に、少しだけ私と似た部分をかんじました。 (2020年3月3日 20時) (
レス) id: 790ab34727 (このIDを非表示/違反報告)
結愛(プロフ) - とても面白いお話でした。最後の3話から訳が分からなくなって、何度も読み返しました。和くんの中の主人公が好きという気持ち、しょうくんの部屋での出来事などは全部記憶からなくなってしまったということですよね。しょうくんと主人公の存在も和くんの中から消えた。 (2020年3月3日 20時) (レス) id: 790ab34727 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫姫
| 作成日時：2020年2月14日 21時
