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生きていく目的 ページ12

それから山本が軍警へ引き渡され、八重桜が壊滅したとの連絡も受け、後始末の所為で私がホテルに帰ることができたのは、夜の七時だった。

「Aちゃん、遅かったね。 大丈夫?」

『あ、赤城君。 うん、大丈夫。 有難う』

 いつもは鬱陶しい位に煩い赤城が、やけに優しい。

「何か静かだね。 何でも俺に相談してね? 友達でしょ?

 あ、そのうち彼氏になる予定だけどね☆」

『アハハ、なれると良いね』

 イラッとくるような軽口も、何故か今は気にならなかった。

「俺はそろそろ行くよ。 お休み」

『うん』

 引き際を弁えている赤城の姿勢は好ましいと思う。


「やあ、A。 鈴木さんと山本は、体調不良で先に帰ったことになっている。 君達の身元もバレないようにしてあるから、此の修学旅行が終わったら転校という形で此の学校を離れると良い。 私たちもそうする」

『有難う、治』

「おい、大丈夫か? ボウッとしてるぞ?」

『・・・大丈夫』

  今はもう、何もかもがどうでも良かった。 何も考えられない。 何も考えたくなかった。

「A、済まなかった」

『なんで治が謝るの? 治はきちんと仕事をしただけでしょ?』

  今は誰とも話したくない。 放っておいて欲しい。

「Aが辛いのは解るが・・・」

『・・・治に何が解るの? もう良いから、放っておいてよ。

 生きる目的も、親も、全部、全部なくした私にどうしろって言うの? 生きててもしょうがないや。

  死んでも良いかなぁ』

  無意識のうちに口から出た言葉に驚いた。 絶対に自分は死んではいけないと思ったのに。

 でも、きっと本心だ。 ギョッとした目で見てくる治に視線を向けずに床を見続ける。


「・・・巫山戯んな」

  パシッ

『いった・・・。 何すんの、中也』

「巫山戯んじゃねえよ」

 乾いた痛みが走った頬を右手で抑える。

 口を真一文字に引き絞り、睨み付ける中也と焦っている治。

「中也、それはやり過ぎじゃ」

「青鯖は黙ってろ」

『・・・何よ』

 
 
 

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なすび(プロフ) - りとのおへやさん» 有難うございます!  これからもそう言っていただけるよう、頑張りますね! (2019年6月2日 21時) (レス) id: 6cdc79c834 (このIDを非表示/違反報告)
りとのおへや(プロフ) - めちゃめちゃ良かったです!中也オチマジで神!!!本当に、こんな神作品を読ませていただけて感謝しかないです! (2019年6月2日 20時) (レス) id: 534e38ce7a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なすび | 作成日時:2019年1月30日 21時

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