第38話 ほんのちょっとの覚悟 ページ39
私は、目の前のそれに恐る恐る触れた。
酷く冷たい銃身。
手に伝わる確かな重さ。
手前にストックされている弾丸の数々。
...本物、なの...？
全身の血が冷えていくのを感じる。
拳銃を持ち上げた私を見て、トントンさんは目を見開いた。
tn「...おい大先生。どういう事や、コレはっ」
ut「銃だよ。薬理凶室印の、特製“氷魔術拳銃”や」
淡々と答える大先生に、トントンさんは強く机を叩く。
その目は、つぶらながらも鋭い。
tn「そうじゃねぇ！なんでこんなもんAさんに渡したかって聞いとんのや！！」
ut「自衛の為やろ。ワシはそれ渡せ言われただけやし...あ、そうそうAちゃん。今週からエーミールの授業と拳銃訓練交互になるから、今日はこれから訓練な」
『えっ...は、はい』
ut「ん、じゃあ行こか」
大先生は踵を返し、食堂を出ようとする。
戸惑いながらも、私が彼の後を追うと、後ろからニグがついてきた。
tn「っ大先生ぇ！」
ut「トントンの言いたい事は分かるよ？Aちゃんに銃を持たせる必要は無い。俺とニグ君が護るから...的なアレやろ？」
大先生の言葉に、トントンさんは口を噤む。
その様子を見た彼は、振り返らず、煙草に火を付けてくわえた。
息を吐き紫煙を燻らした後、彼は口を開く。
ut「総統命令や」
tn「っ！」
ut「エンドラの件もあるし、護る事に注視し過ぎて戦闘が疎かになったらどうする？ニグ君だって、最近まで魔力空だったやろ？今、直ぐに敵襲が来て、対応出来るとでも？」
tn「それは...」
トントンさんが俯き始める中でも、彼は言葉を続けていた。
彼の言っている言葉は、正論でしかないのだろう。
エンドラの事を抜きにしても、元々この国は戦争を行っているのだ。
幹部の補佐である以上、私は戦いを避ける事は出来ない。
...腹、括らないとなのか。
一つ、浅めの呼吸をした。
_____________
side tonton
『...トントンさん、私...やります』
tn「Aさん...」
彼女は、俺の目を見てそう告げる。
改めて彼女の手を見れば、細く華奢で、とても戦場経験があるようには思えない。
俺はもう何も言えなくなり、食堂を出て行く彼女の背を見送った。
ut「トンち」
tn「...なんや」
ut「護るだけが、贖罪ちゃう」
tn「...」
ut「安心せぇ、あの子に殺しはさせんから」
...えっ？
思わず大先生の顔を見る。
その表情が少し柔らかい事に気付いた時には、もう後ろ姿しか見えなくなっていた。
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つばき - 沼…決定的成功……探索者………なるほど？？？？大好きです！！！！！！！(大声) (2021年11月23日 23時) (
レス) @page45 id: f38a77f071 (このIDを非表示/違反報告)
毎日たこ焼き - ロリ妻…ｸﾞﾌｯｯｯ (2021年11月17日 20時) (レス) @page43 id: d89fb8bcc6 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - 俳優の…さん何処いっちゃった…え…あの人…とソワソワしております！ (2021年10月28日 22時) (レス) @page36 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
ソノ - 面白そうだと思ったら、くるとがさんだとは…、読ませていただきます！ (2021年10月19日 13時) (レス) id: 24deaf33a5 (このIDを非表示/違反報告)
夢屋(プロフ) - ド|ズ|ル|社の皆さんが登場するとか聞いてません。本当最高です 。有難う御座います。 (2021年10月18日 23時) (レス) @page29 id: 6a562a9c6a (このIDを非表示/違反報告)
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