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〇Your side



逃げるように風呂場に走る


みんなが寝ているにもかかわらずドアを閉める音が自然と乱暴に大きくなってしまう


それでも、みんなが起きたらどうしようなんて思う余裕はなかった


服を脱いだらすぐにシャワーに手を伸ばした






風呂場には床に弾けるシャワーの水音が響く


鏡に映る自分を直視できない




フラッシュバックする、練習室のあの光景が…


それと同時に思い出す


先生の、あの2人の…




俺を…







震える手でシャワーを掴み体を流す


溜まった汚れが無くなるように、身体中を純水で覆う



『……はぁっ、…いやだ、消えてってば…』






腕も、足も、何度も何度も擦る


赤くあとができて、擦るのが痛くなっても擦り続ける


それなのに


気持ち悪い感触を生々しく肌が思い出す


気持ち悪い








消えて、







消えて








消えて…お願いだから




掴まれた手首も、撫でられた腰も



目の前の光景も先生の息遣いも


擦れば擦るほど脳裏に蘇る




どうしようもなく涙が溢れた

と思う。シャワーの水滴と勘違いしているかもしれないけど

それでも目頭が熱を持っているのはわかっていた





なんで、こんなにも上手くいかないのか

何が悪いのだろうか

今までの積み重ねてきた練習生活も、

アイドルとして輝く目標も、

メンバーの優しさとも、



遠く距離を置いて影がかかったかのように

心の躍動がすーっと静まっていった







擦るのが疲れてシャワーを止める

静まり返った風呂場に、頭が冷える







今日起きたことは、夢ではないんだ

そしてこのことは確実に俺の人生を左右する出来事


もちろん俺や先生が事実を伏せ続ければ何の影響もないが

一歩間違えれば

俺の未来はひっくり返り、

2度と同じ道を通れない可能性さえある



最悪の場合は何が最悪か

アイドルになれないかもしれない

なれたとしてもアイドルとしての輝きは失ってしまう








そして、自分を愛してくれる人を裏切ること


夢を目指すことを支えてくれた家族

実力不足な俺を拒まず拾い上げてくれたPDニム



どんな時でも暖かく接してくれたヒョンたち







『……ジョングガ…』







大きなため息が出る

さっき帰ってきてすぐに抱きついてきたジョングガ

いつも一緒にいて、真面目で芯を貫くあいつが

これを知ればどう思う……?









いまだに体を包む生々しい感覚からくる震えも

このときだけは収まっていた

○→←○



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まなさん(プロフ) - 私じゃ絶対に思いつかない発想です…もっとお話が進んでからになりますが、絶対に書かせていただきますね! (2023年1月29日 21時) (レス) id: 3060404450 (このIDを非表示/違反報告)
まなさん(プロフ) - mockn0369さん» リクエストありがとうございます! (2023年1月29日 21時) (レス) id: 3060404450 (このIDを非表示/違反報告)
mockn0369(プロフ) - はじめまして。楽しく拝読させていただいています!カバーステージのリクエストですが、ユンギのピアノ伴奏付きでのBest of Meのパフォーマンスをお願いします! (2023年1月29日 20時) (レス) id: 6d25d41aea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まなさん | 作成日時:2023年1月28日 0時

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