Fleur simple

Episode37 〜竜side〜 ページ38

休み明け、

登校中に明らかに目立っている集団がいて、

その中心には俺の好きな女が居る。



陸達に囲まれて、

まるで王子が姫を取り合っているみたいだ。



一目惚れだった。



Aが転校してきた日、

兄貴と話して笑うAを見て、

誰にも渡したくないと思った。




″付き合う事になりました！″



陸の言葉が頭から離れない。


なんとなく、

2人の距離が近いと思ってたし、

陸がAを好きなことも、

すぐに分かった。



もし、Aも陸が好きで、

2人が両思いたら、

俺の入る隙なんてないと思ってた。


好きな人はいない、陸じゃないって言ってたから

俺にもチャンスがあると思った。


いま好きな奴がいないなら、

これから俺を好きになれば良いって。




Aと目が合わせられないまま、

″良かったな″なんて、

思ってもない言葉が出た。



教室についてからも、

みんなに見せつけるように、

2人の距離が近いことに、イライラする。






・


勝手に席をAの後ろに移動させた。


顔が見たくなくて…見れなくて、

真後ろの席に移動したのに、

後ろからでも、陸の事を見ているのが分かる。



…なぁ、俺のこと見てよ。

陸じゃなくて、俺のこと好きになれよ。



窓から入ってくる風と一緒に、

Aの優しくて甘い香りがする。


俺は無意識に、

Aの長い髪に触れようと、

手を伸ばしていた。

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