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二十四話 ページ25

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突然名前を呼んだ私に、驚いたようにこちらを振り向く奏多。
それもつかの間、すぐにぐしゃりと顔を歪めて涙を零した。






「今まで、ありがとう。





……Aと、また、会えたら_______」






私とまた、会えたら。


その言葉の続きを聞く前に、扉は閉められた。奏多が何を言おうとしていたのか。

それはもう、分からない。








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全てが終わったという安心感で、放心状態になっているところに相澤さんがやってきて。

私の存在を確かめるように強く抱きしめた。






「……すまない……、遅れた……」


『……っう、……あい……ざわさん……っ』






ふわりと感じる温もりに再度涙が溢れ出て、身体に自然とこもっていた力が抜けた。

背中に手を回して、子供のように泣きじゃくる。相澤さんはそれに何も言わず、ただ抱きしめるだけだったけど。




それが、どうしようもなく嬉しいんだ。








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『(ああ、なんか、分かった気がする)』









だんだんと睡魔で瞼が閉じてくる。
それを見かねた相澤さんが苦笑した。






「大丈夫だよ、安心しな。寝てても良いから」


『……ん、すみま……せ_______』







瞼を閉じると待っていたかのように、睡魔が意識を攫っていく。







『(わたし、私……)』







眠りに落ちる前、私の頭をゴツゴツと骨張った大きな手が撫でた感触がした。









『(……相澤さんのこと、好きなんだ)』



_______
Side Change





俺の胸に顔をうずめながら、すよすよと眠る椎名さん。頰に涙の跡がうっすらと残っている。



腕や足など、露出しているところに殴られたような傷跡がぽつぽつと見えた。



きっと夢我……いや、椎名さんのストーカー(・・・・・・・・・・)によってやられたのだろう。
未然に防ぐことができなかった。そんな罪悪感に、自然と拳に力が入る。









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_______異変を感じたのは、7時を過ぎた頃だった。



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サクラ(プロフ) - 桜音@さん» 絶対見ます!!!相澤先生が大好きなのでめっちゃ嬉しいです!お気に入りに追加させていただきます!これからも頑張ってください!応援してます!!! (2018年6月16日 11時) (レス) id: 1bea3ff93b (このIDを非表示/違反報告)
桜音@(プロフ) - サクラさん» わああありがとうございます!番外編では、本編で少なかったと思われるイチャイチャを増やしたいと目論んでおります……良ければ覗いて下さると嬉しいです! (2018年6月16日 11時) (レス) id: 5ab7bb9a6f (このIDを非表示/違反報告)
桜音@(プロフ) - 立花 雪さん» んんん泣いてくださったとは…!!!有難い!!(こいつ)泣ける作品目指してました…。続編でもよろしくお願いします〜〜! (2018年6月16日 11時) (レス) id: 5ab7bb9a6f (このIDを非表示/違反報告)
桜音@(プロフ) - すいさん» ウ"ッッッありがとうございます…!!実は書いた中で一番気に入っているストーリーなので嬉しいです……。続編を作成いたしましたので覗いて下さると嬉しいです!相澤先生好きが増えて本望です…! (2018年6月16日 11時) (レス) id: 5ab7bb9a6f (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - めっちゃ泣いた、続編みたいし番外編で椎名さんと相澤先生のイチャつきがみたい!めっちゃ感動しました! (2018年6月16日 9時) (レス) id: 1bea3ff93b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜音@ | 作成日時:2018年5月4日 15時

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