十九話 ページ20
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「じゃあ家空けるぞ。家出るなら戸締り頼んだ」
『あっ、はい……!』
あの日から、謎の感情が私を邪魔してきて。
相澤さんを見ると何故か鼓動が早くなって、顔が熱くなる。うまく喋れない。
_______まるで、恋をしたみたいに。
……いやいやまさか。
頭に浮かんだ想いを振り払うかのように頭を振る。
相澤さんは不思議そうに首を傾げながら家を出て行った。……そういえば何処行くか聞いてないな。
……彼女さんと?
そんな考えが脳裏をよぎる。
_______なんか、やだな。
『……っ……外、行こ』
無意識に浮かんだドロドロとした黒い感情を消すように首を振る。
本屋にでも行こう、小説でも買おう。
こんな醜くて汚い感情、見せられるわけがない。
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『……あ……夢我さん。ちょうど良いところに』
「さ、最近よく会うよね僕たち……どうしたの?」
『前の肉じゃがのとストーカーのお礼を……させてほしくて』
本屋からの帰り道、ビニール袋を持った夢我さんを見かけた。
家とは真反対の方向に歩いてた……けど、まだ行くところあるのかな。
最近よく会うよな本当。
「お礼なんて良いよ〜!これからも仲良くしてくれたら、それで」
『私が嫌なんです。……ここからちょっと歩いたところにケーキ屋さんあるんですけど……行きませんか?』
「ううん……よし、分かった!行こうか」
でも友達と何処かに行くの久しぶりで、と頰を掻きながら恥ずかしそうに言った。
見たところ同い年らしいし、色々あるんだろうな。
高校で仲が良くてよく遊んでいた私の友人も、大学に入るのを機に殆ど連絡を取らなくなった。
きっと、大学生は私が思っている以上に忙しい毎日なんだろう。
『あ、案内しますよ。こっちです』
相澤さんに6時ごろ帰ると連絡を入れる。
もちろんの事、既読はまだ付かないが……まあいつか気づくだろう。
夢我さんにくるりと背を向け、一歩踏み出そうとした時、
「……緊張感持とうよ。“A”」
突然後ろから鈍器で殴られたような衝撃が頭に走り、思わず地面に倒れこむ。
『……っう"……た……っ、なんでっ……名前、』
ぐらぐらと揺れる視界。だんだん閉じていく瞼。そして、冷たくこちらを見つめる彼の目。手には石が。
「なんで?……そうだなあ」
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「君の最も恐れている人物だからかな」
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サクラ(プロフ) - 桜音@さん» 絶対見ます!!!相澤先生が大好きなのでめっちゃ嬉しいです!お気に入りに追加させていただきます!これからも頑張ってください!応援してます!!! (2018年6月16日 11時) (レス) id: 1bea3ff93b (このIDを非表示/違反報告)
桜音@(プロフ) - サクラさん» わああありがとうございます!番外編では、本編で少なかったと思われるイチャイチャを増やしたいと目論んでおります……良ければ覗いて下さると嬉しいです! (2018年6月16日 11時) (レス) id: 5ab7bb9a6f (このIDを非表示/違反報告)
桜音@(プロフ) - 立花 雪さん» んんん泣いてくださったとは…!!!有難い!!(こいつ)泣ける作品目指してました…。続編でもよろしくお願いします〜〜! (2018年6月16日 11時) (レス) id: 5ab7bb9a6f (このIDを非表示/違反報告)
桜音@(プロフ) - すいさん» ウ"ッッッありがとうございます…!!実は書いた中で一番気に入っているストーリーなので嬉しいです……。続編を作成いたしましたので覗いて下さると嬉しいです!相澤先生好きが増えて本望です…! (2018年6月16日 11時) (レス) id: 5ab7bb9a6f (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - めっちゃ泣いた、続編みたいし番外編で椎名さんと相澤先生のイチャつきがみたい!めっちゃ感動しました! (2018年6月16日 9時) (レス) id: 1bea3ff93b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜音@ | 作成日時:2018年5月4日 15時