雨の生き様 【煉獄杏寿郎】

合同任務 ページ28

『おまえはっ』


竈門炭治郎の、妹の竈門禰豆子だ


鬼の気配につい腰に手を当てて刀をの抜く素振りをしてしまった


『(鬼なのに人間を食わないなんて、今でも信じ難い)』

「むーむー！」

『なんだ』


小さな鬼は俺の足の服を引っ張りながら何かを訴えていた


『？』

腰を落とし目線を合わせると俺の腕を摩ってくる



『(あぁ…そうか)』

「むぅ？」


『大丈夫だ。怪我はもう治っているよ』

「むー♪」

『お前は鬼なのに不思議なやつだな…あの時は悪かったな』

「？」

『ははっ』


禰豆子の頭を軽く撫で再び縁側に座りながら月を眺めた
そろそろ満月だろう



「むーむむ」

『あぁ、いいぞ』


禰豆子は胡座をかく俺の足の間に座り込みニコニコと笑った



『お前は兄が大切か？』

「？」

『支えてやれよ、家族はたった一つのかけがえのない存在なのだから。俺のようになるな』



俺は鬼相手に何を言ってるのだと今でも思う




『俺はきっと…あいつらに何も残してやれない
もしも生まれ変わるのであれば…家族みんなで飯を食えて、昼寝ができて…幸せな日が送れる世界がいい』




大丈夫だよ


『泣いてなどいない』


俺の頬に触れる小さな暖かい手は優しくて


頬を流れるものなんて気にならなかった



『俺は、あいつを守れればそれでいいんだ』


生きて欲しい



『ただ、それだけだ』

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