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幸せ89* ページ48

「ん…」



さっきと違って、自分が今している行為がよく理解できた。

俺の頭に回された親父の手や、触れ合った唇から伝わる熱。


それを感じるだけで、俺の思考は全てうやむやになってしまった。



「んっ、あ!?」



突然、ぬるりとした感触が唇に触れ

そのまま口の中に飛び込んできた。


驚いて口を開けば、更にその感覚が激しさを増した。



「んあ、はっ…ン、むぅ…」


鯉伴「ハッ…、ん…。」



舌を絡め獲られて、音を立てて啜られる。


だらしなく口の端から垂れる涎を、添えられた指が掬って

もう片方の腕が体をグッと引き寄せた。


息が、体温が、全部が

もうどっちのものか分からない。



「あっ、んン…!ひゃ、め…」



肩口を押す腕にも力が入らなくて

情けない声だけが漏れる。



頭がクラクラとしてきた頃に

ようやく口が解放された。



「ハッ、はっ…ハァ…」



くてん、と力なく親父の胸にもたれ掛る。

息も絶えたえな俺の頭を、親父が優しく撫でた。




鯉伴「初々しい反応してくれるなぁ。」


「うるっせ…!!

ハ…、慣れてね、んだよ…。」


鯉伴「へえ?

なら、慣れるまで続けてやろうか?」


「やめろバカ親父!!」



頭から顎に移動してきた腕を慌てて押しのける。

それを見てクククッと笑う親父にイラッときたので軽く肩を殴ってやった。



鯉伴「まぁ、次は少し加減してやるよ。」


「次って…」


鯉伴「…嫌かい?」



そう言って指先で前髪を掬われる。

だから、何でそう真剣な顔してくるんだよ…!!



「…今やめとけば、悪酔いの悪戯とかで済むだろ。」


鯉伴「そうしてぇのか?」


「っアンタ分かってんのか?

俺らは男で、親子なんだぞ。


さっき言ってた家族愛を、誤解しただけかも知れねぇだろ。」


鯉伴「さっきも言ったが、俺はお前を誰にも渡したくねぇ。

頭撫でたり抱き締めるだけじゃ全然足りねぇ。


今だって、お前を手放す気はねぇし

いっそこのまま組み敷いて、全部奪っちまおうかとすら思ってる。」


「なっ…!!?」


鯉伴「けど、お前が嫌ならこれ以上何もしねぇ。

ただの悪酔いで終いにする。」


「…母さん、は」


鯉伴「若菜のことも愛してるさ。

一生揺るがねぇよ。」


「…で、俺の事も愛してるって?」


鯉伴「ああ。幻滅したかい?」


「…出来たら、楽な幕引きだったのにな。」




ポツリと出た言葉を最後に

俺の口はまた塞がれた。

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紗那(プロフ) - 久しぶりに《この手に掴んだ幸せを》を一気に読み直したのですが、やっぱりstoryや展開などが大好きです(*^◯^*)更新停止になっているみたいですが、もう更新されないのでしょうか・・・・?更新されるのを待ってます(>人<;) (1月28日 17時) (レス) id: a0235214a5 (このIDを非表示/違反報告)
こと(プロフ) - めっっちゃくちゃに好きです。大好きですガチ萌えます!!!本当に最高すぎます!!!!もう更新されることは無いのでしょうか……?続き楽しみに待ってますm(_ _)m (12月11日 18時) (レス) @page50 id: 8bdd3d2cd9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - すっごく、萌えます!!めっちゃ続き気になります! (9月25日 0時) (レス) @page50 id: 1fc4502f62 (このIDを非表示/違反報告)
ポッチ(プロフ) - めっちゃ好こです。男色もストーリーも大好きなので何度も読み返してしまいます。更新はもうされないのでしょうか? (5月24日 11時) (レス) id: bc736021f3 (このIDを非表示/違反報告)
れもん - おわーーー!!好きです!好きすぎます!!!このままリクオも混ざって…まさか若菜さんが…良いですね!!!!!鯉伴様もカッコ良すぎる!!続き、待っております!でも、無理はなさらないでください! (2022年10月25日 1時) (レス) @page50 id: 4d12249e4c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年4月10日 15時

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