【奴良組】この手に掴んだ幸せを。【ぬらりひょんの孫/男主】

幸せ80 ページ38

ヒデ「あっぶねぇ!!」


島「うわぁっ!?」



ガゴゼの鎌が男の子に振り下ろされる直前

ヒデがその子を抱え走り抜け、鎌は空を切った。



ガゴゼ「ぬう…!ちょこまかと…

大人しく切られぬかぁ!!」


「大人しくすんのはテメェだろー、がっ!!」


ガゴゼ「なあッ!?」



ヒデに追撃しようとするガゴゼの鎌を蹴り飛ばす。

カラン、と持ち主同様の渇いた音を立てて、鎌はトンネルの奥へ消えた。


ヒデはそれを見送って、みんなをバスの影へ避難させに走った。



ガゴゼ「この、足癖の悪い小童が…!!」


「親父譲りでね。


お前、自分が今何してんのか分かってるのか?

こんな事親父達が知ったら、組どころか関東にアンタの居場所はなくなるぜ。」


ガゴゼ「…フン、あの半端者共にそんな力があるものか。」


「何?」


ガゴゼ「妖怪は人に恐れられる者…。

それなのに、人の血が混ざる者が組を継ぎ…

組はどんどん人間臭くなってしまった…。


お前らのような人間臭い者に組の長が務まるものか!!


だからワシが、恐れられる存在として君臨するのだ!!

ガキどもの悲鳴と血を使ってなぁ!!」


「……それはつまり



親父の事すら、認めてないってことか?」


ガゴゼ「…あの男は確かに強いさ。

だが、所詮は人の子よ…。

人と交わり、人を守るようなマネをするから


息子に命を救われるような、腑抜けに落ちぶれたのじゃ!!」


「!!」





胸の傷が、疼いた。





「…ざけんなよ。」




怒りで、鼓動が早まる。




「テメェに親父の何が分かる…。」




血管が、はち切れそうなほどに。





「“オレ”達の、何が分かるってんだい？」


ガゴゼ「！？(なんじゃ…!?纏う空気が…)」





血が、熱い。






ゴバッ！！






「！！」


ガゴゼ「なっ！？」


『きゃー！』『何―!?』





闇に閉ざされていた空間に、急に光が差し込んだ。





青田坊「おほ……見つけましたぜ若ぁ!!

生きてるみたいですぜぇ―――!!」






響く声と月明かりに誘われるままに、見上げれば





魑魅魍魎が、闇を背負い跋扈する




百鬼夜行




その先に、美しい、銀の髪の少年が居た＿＿＿。







「リク、オ＿＿＿。」





呆気にとられ、滾る血が引いていく。

その代りというように、血の様な真っ赤な目が、俺の視線とかち合った。





リクオ「A…。」





俺の名を呼んだリクオの目は

俺と対峙するガゴゼに向けられた＿＿＿。

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