【奴良組】この手に掴んだ幸せを。【ぬらりひょんの孫/男主】

幸せ69 ページ27

「俺は、『総大将』になれないし、なりたくない。」


鯉伴「単純な答えだねぇ。」


「言いたい事はいっぱいあるけど、言葉にできない。」


鯉伴「意外と子供らしいな。」


「子どもだもん。」


鯉伴「そうだな。」


「そうだよ。」


鯉伴「よし、分かった。


お前がやりたくないならやんなくていい。

お前が選んだんなら、それがいいさ。」


「・・・うん。」






“鯉伴「此奴らの人生は、此奴ら自身が選ぶんだ…」”





あの時の父の言葉を、Aは思い返す。




この人は、俺とリクオの選択を、これからも決して否定しないのだろう。


そして俺達がそれを理解している事を、この人は理解している。




だからこそ、自分が何か決めたその時は、一番にこの人に話したい。







本当に、心の底からそう思える。







「でさ、親父。

俺、総大将はやらないけど、他にやりたい事があるんだ。」


鯉伴「ああ、言ってたねえ。

言ってみな。」


「俺、みんなと一緒に生きたい。」


鯉伴「！」




驚きの表情を見せる鯉伴に、Aは続けた。





「前までは、みんなを守れればそれでいいって思ってた。



でも、それだけじゃダメだった。嫌だった。」






“あの日”、みんなが流した涙が



親父のくれた言葉が



オレが



教えてくれた。守るだけでは意味がないのだと。







「…親父は、守るっていうのは難しいって、言ってたよな。



きっと俺が今やろうとしてる事って、それよりもっと難しい事なんだと思う。





でも、やりたい。頑張りたい。

俺は、みんなと一緒に生きたいよ。」



鯉伴「A…、お前…。



……本当に、大変な事だぜ?

少なくとも今のお前じゃ、色々足りねぇな。」



「足りないなら手に入れていくよ。


まだまだなら成長する。


たくさん学ぶし、ずっと強くなる。」






俺のその言葉に、親父は「そうかい。」と笑って


「頑張んな。」と頭を撫でてきたのだった。

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