【奴良組】この手に掴んだ幸せを。【ぬらりひょんの孫/男主】

幸せ61 ページ19

「ふーん、後継ぎねぇ。」


「…お前興味ないな?」


「おう!全っ然!!」


「殴りたいこの笑顔。」


「ぐふっ!

言いながら殴んなよいってぇな!!」


「有言実行。」


「合ってるようでなんか違う!!」





給食を食べ終わり、今は待ちに待ったお昼休み。


外に出て遊ぶ男子や、気になるあの子の話題で盛り上がる女子達

それぞれが思い思いに過ごす中



奴良Aと楠木英人は裏庭で内緒で持ち込んだお菓子を食べていた。






めでたく仲良くなった二人は、あの騒動以来いつも一緒にいる。


一緒に登校し、一緒に学び、一緒に食べて、一緒に遊んで、一緒に帰ってまた明日。

それが二人にとって当たり前になっていた。



一時期重傷を負い、休んでいたAがようやく登校し

また二人でバカやって、進級してもまた同じクラスになってバカやって。

リクオもめでたく入学し、楽しい毎日を送っていた。

そんなさなかにAが相談があると言ってきた。





「ヒデ、お前な、もうちょっと真剣に話聞けよ。

人が相談してるのに。」




「ヒデ」というのは、Aが付けたあだ名だ。

三文字より二文字の方が呼びやすいとのことでそう決まった。
(因みに「弟はどうなんだよ」と聞いたら「リクオは天使」と返って来て会話にならなかった。)




ヒデ「だーってよぉ、わっかんねーんだもん。

そもそもお前の家がヤクザだってのも初耳だし。」


「そうだっけ？」


ヒデ「そうだよ。」


「察しろよ。」


ヒデ「無茶言うな！」


「あ、チョコもうないや。」


ヒデ「お前ホント自由だな！？」






なぜだか自分の前では自由奔放な親友に、常に振り回される楠木である。

普段はクラスではもっとしっかりしているし、弟の前ではとんでもなく「いい兄ちゃん」だ。


それが自分の前ではゆるっゆるのダラッダラである。
遠慮が無さすぎる。

こいつの中で俺ってどういう立場なの？





「まあとにかくさ、色々めんどくさいんだよね。」






パリッとポテチを食べながら、Aは本当にめんどくさそうな顔で言った。





相談の内容というのは、Aの実家・奴良組の後継ぎ問題である。




関東大元締めというたいそう立派な肩書を持つ

二代目であり実父である鯉伴が総大将を降りてはや三ヶ月。



隠居していた祖父が代わりに組を取り仕切る体制に皆が慣れ始め

落ち着きを取り戻した結果



鯉伴の実子であるAに、後継ぎとしての白羽の矢が立ったのが始まりだった＿＿＿。

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