【奴良組】この手に掴んだ幸せを。【ぬらりひょんの孫/男主】

幸せ55 ページ13

青田坊「あいったぁぁ―――！！？？」




ドガン！という音と共に、青田坊の屈強な頭の上に大きなタライが降って落ちてきた。


「ぬおお」と頭を押さえながら悶えている青田坊を見て




察しの通りの犯人であるAとリクオはケラケラと笑い転げた。







リクオ「あっははは!!どんくさいなぁ青田坊は!!」


「だーいじょーぶー？」


青田坊「若様っ、リクオ様っ!!ま〜〜たお二人の仕業ですかい!!

今日という今日は許しませんぞ――!!」


「「キャ――――♪」」


青田坊「待ちなさーい!!」






ドッタバッタと屋敷中を走り回る三人を

洗濯物を干す首無と毛倡妓は呆れたように笑いながら見ていた。






毛倡妓「若様ったらすっかり元気ねぇ。」


首無「ああ。一時はどうなる事かと思ったが…。

杞憂に終わって何よりだ。」


毛倡妓「アンタってば心配し過ぎなのよ。

若様が心配で家事が手につかないなんてさ。


洗剤使い過ぎて洗い場を泡だらけにした時は大変だったわよ。」


首無「なっ…!

そういうお前こそ、塩と砂糖どころか醤油にポン酢にみりんまで
入れ物全部間違えて入れて置いた時は悲惨だったぞ!!

夕飯がまるでお通夜だ!!」


毛倡妓「ちょっ、人の失敗をひけらかすんじゃないよ!!

全くこれだから男ってのは!!」


河童「まぁまぁ二人とも、痴話喧嘩はその辺で〜。」


毛倡妓・首無「「誰が痴話喧嘩だ!!」」


首無「って、河童。お前いつの間に。」


河童「若様たちと青が追いかけっこした時から〜。

若様元気になってよかったね〜。」


毛倡妓「…ええ、本当に。」





もうとっくに屋敷の反対側に行ってしまった

それでも聞こえてくる元気な声に、改めて安堵の息を漏らす。




あの血塗れの姿の、なんと恐ろしかったことか。

あの子が失われるかもしれないと思った時の、なんと苦しかったことか。



あの子が戻って来た時、どれだけ嬉しかったことか＿＿＿。







首無「…A様とリクオ様は」


毛倡妓「？」


河童「？」



首無「俺達の未来であり、希望だ。」






大妖怪・ぬらりひょんの血を受け継ぐ子


己が主・鯉伴の愛する子


いつか、我らを率いる主君





首無「お守りするぞ。この命に代えても、次こそは。」





首無のその言葉に、毛倡妓と河童は静かに頷いた。





落とし穴に引っかかった青の悲鳴と

二人の笑い声がより一層響く、晴れた昼下がりの事だった＿＿＿。

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