【あらき】大好きなのは、貴方だけ。2【歌い手】

Song*52〜なるせside〜 ページ20

『お兄ちゃんお兄ちゃん！あらきさんにライブとCDのことお願いしようと思ったらご飯誘われちゃった！！どうしよう！！』


な「へぇ、よかったじゃん。」




どうしよう、何着てこう、前回は…なんて浮かれてるAを横目で見て、俺はそっと携帯を開く。


開いたLINEのトーク画面は、96ちゃんこと96猫さん。

Aがお世話になってるってことでまふくん通じて仲良くなった人。




“な「96ちゃん、ちょっといい？」”


“96「おう!!どうしたのなるせちゃん」”


“な「あのさ、明日千雪のこと96ちゃんちに泊まりで遊ぶの誘ってやってくんね？」”


“96「それはいいけどどしたんよ」”


“な「ちょっとあらきと話したいことあってさ」”


“96「ははーん、なるほどね、任せたまえ！！」”




って、96ちゃんから返信が来た瞬間、後ろにいたAの携帯がピロンっと鳴る。



『あれ、96ちゃんだ…明日、泊まり？全然いいけど夕飯の後になっちゃう…あ、96ちゃんも夕飯の時は用事あるんだ、なんてちょうどいい…』



うん、Aの独り言属性のおかげで全部わかった。

よかった、96ちゃんがあらきとAがご飯行くこと知ってたら俺から話いってるの下手したらバレちゃうもんな…


多分、96ちゃんは俺があらきに何を話したいかも、だからこそ、それをAに悟られない方がいいことも理解して、ああいう誘い方をしてくれたんだろう。


そらるさんは96ちゃんのこと馬鹿猫とか言ってたけど、多分あの人めちゃくちゃ察しいいよ、そらるさん…。




96ちゃんとAが遊ぶことを決定したのを確認して、今度はあらきとのトーク画面を開く。




“な「明日さ、Aとご飯食べたあと俺んち泊まってよ、Aは96ちゃんち行くから」”


“あ「それはいいけど、どしたのなるせ」”


“な「話したいことがある、優翔と2人で」”


“あ「わかった。じゃあ96ちゃんちにAちゃん送ったあとそっち行くわ、遥。」”




俺が「あらき」じゃなくて「優翔」って呼ぶ時は、歌い手関連の話じゃなくて、かつ真剣に話がしたい時。


向こうも俺の本名、「遥」で呼んできたってことは、それも理解してくれてるんだろう。





俺は俺で動くよ、お前が幸せになれるように。




勝手に動いたことを心の中で謝りながら、『明日楽しみだなぁ』なんて呟くAに「浮かれすぎて怪我すんなよ、ライブ前に」なんて軽口を叩いた。

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