鎖【月永レオ】【天祥院英智】 (ページ8)

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月日は流れ、半年後の六月。

私が夢ノ咲学院の生徒になってから、二ヶ月が経った。
英智さんは私と出会ったときには高校2年生だったらしい。だから今は、三年。
私は、一年生。

この学院に入って驚いたのは、男子校だったこと。
『プロデュース科』とかいう学科が新しく出来、研究生として入ってきた二年生の女の人を除けば、全員男子だ。(ちなみに私は、その学科が出来た流れで、学院に入れた。)

「ねぇ、A。今日は歩いてゆっくり帰ろうか。」

「歩いて…ですか？じゃあ、車は呼ばなくていいって連絡しておきますね。」

英智さんの問い掛けに対し、そう言う。
彼は、学院内でも有名なようで…いつも、注目されていた。
私もそんな英智さんの隣にいるせいか、たまに『皇帝の犬』なんていう悪口を掛けられたりする。

……けど、気にしない。何言われたって、別にって感じ。
メンタル、意外と強いみたいだ。

「Aさま、どうぞ。」

「『様』なんてつけないでいいです。伏見さん。」

ここは、生徒会室。
本来なら、役員以外入ってはいけないところに…なぜか、私がいる。
英智さんが、『ここで待ってて』と言ったからだ。

伏見さんが淹れてくれた紅茶を、「いただきます」と言い、飲む。

この人は、そこに座っている……姫宮、桃李くんの付き人だ。…こんな優秀な人が、どうして付き人をやっているのかと思う点も多々ある。

……あちらに座っているのは、蓮巳敬人さん。英智さんの幼馴染み。生徒会の、副会長だ。
私に一番近い位置に座っているのが…衣更真緒さん。しっかりしてるイメージがある。あまり話したことはないけれど。

そして、中央に座っているのが…英智さんだ。

「A、帰るよ。」

「えっ、もう……ですか…！？」

私が紅茶を飲み干すと同時に、もう生徒会の仕事は終わっていた。
資料に目を通して、判子を押すだけの作業だったらしい。

私は生徒会役員の皆さんに一礼をして、その場を英智さんと共に後にした。