鎖【月永レオ】【天祥院英智】 (ページ49)

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「ん～とな、やっぱり女の子一人で帰すのは危ないし？呼び出したのはおれだから…一応、送ってく！」

「えっ…！？だ、大丈夫ですよ…！私と月永さんとは帰り道逆方向だから、帰るの遅くなっちゃいます…！」

「いいっていいって！おまえの身になんかあったら誰かさんに怒られちゃうしな～？ほら、行くぞ～！」

……誰かさんって、誰だろう。
そう思いながら、私は鼻唄を歌いながら歩くご機嫌な月永さんの後を追った。

＊＊＊

「Aって、やっぱり『皇帝』の家に住んでんの？」

「はい。色々あって…住まわせてもらってます。」

そういうと、彼はさほど興味無さそうに、「ふ～ん。」とだけ呟いた。

てくてくと、歩いていく。
月永さんと話していないからなのか、それとも夜だからなのか…不気味なほどに、静かだった。

「…あ」

20分くらい、経っただろうか。
ようやく、着いた。

「ここ？」

「はい。…ありがとうございました、月永さん。」

「いいって、むしろ帰り遅くしちゃったのおれだし…あ、もしも『皇帝』に怒られたらおれのせいにしていいから！」

そういうと、彼はひらひらと手を振り、その場を去っていった。

「…曲、ありがとうございましたって…伝えるの、忘れちゃったな。」

…最後に、一言だけ言いたかったのに。