Past.【月永レオ】 (ページ5)

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部屋を出て、お母さんが用意してくれた朝ごはんを食べながら考える。

…もしかして私、過去に来てるんじゃないの？
今考えられて、一番納得できるのはそれだ。お母さんが私の姿を見ても驚かなかったのは……多分、私が『こっちの世界の私』の姿だからだろう。意識ごと、もしかしたら入れ替わってしまったのかもしれない。

と、いうことは…学生時代の私は、今頃私と同じような状況にあるってことか。
大丈夫かな、そもそもレオと付き合いだしたのは高校卒業からだし、一緒に住んでるのを知ったら頭がパンクして倒れそうだ、私。

けどまぁ多分、なんとかやるだろう。私のことだし、きっと乗り切ってくれるはず。
私の方も…まぁ、なんとかやれそうだし。もう一度学生時代に戻れると思えば、気が楽だ。

「そうだA、今日、ちゃんとお礼言いなさいよ？」

「…お礼？」

コーンスープを飲み終わり、私は食器を運ぶ。そして、テーブルを拭くお母さんの言葉を、聞き返した。
お礼って、誰に？だいぶ昔のことだからもうすっかり忘れている。何かあったのかな、全然、わからない。

「ほら、貴方昨日階段から落ちたかして帰ってきたのだいぶ遅かったじゃない。先生にちゃんとお礼言っておきなさいね？ってこと。」

「階段から、落ち…た…？」

何馬鹿なことしてるんだ、私。
というかそんな重大なことどうして覚えてないの、馬鹿なの？だからさっきちょっと体が痛かったのか。…いや本当に馬鹿だな。

「全く…気をつけなさいよ。本気で心配したんだから。…あ、もうひとつ。」

キッチンに移動し、洗い物をしながらお母さんは続けた。

「貴方を迎えに行ったとき、横に男の子がいたじゃない？あの子、私が迎えに行くまでずっとAの側にいてくれてたみたいだから、その子にもちゃんとお礼言っときなさい。心配してたみたいだから」

「…男の子？」

「あの子よ、えーっと…なんだったかな、橙色の髪の毛で…まぁ、とりあえずもう出なさい、また思い出したら連絡するから！」

橙色の、髪の毛。
それでもう、私はだいたい検討がついていた。
私が階段から落ちたとき、側にいたのは……月永、レオだ。