鎖[3]【月永レオ】【天祥院英智】

16. ページ16

「……なんで、こんなことに…」


先生に頼まれたこと。
それは、教室にあるプリントをすべて、空き教室に持っていくと言うものだった。
なんでこんなことを私がやらなきゃいけないのか。先生にそれを聞くと、「たまたま目についたから」だと言われた。解せない。


もういるものといらないものに別れているから、持っていくだけとはいっていたけど…ぶっちゃけ、面倒くさい。
けどやらないともっと面倒くさいので、私はよいしょ、とプリントの束をもった。


こんなの、早く終わらせてしまおう。
そう思いながら、廊下を歩く。


そもそも運が悪いんだ、私は。どうして実行しようとしたときに先生に呼び出されてこんなことしなきゃいけないんだろう？
思えば私、先生に呼び出されて用を言いつけられること多いなぁ。雑用係でもなんでもないのにな…


はぁ、とため息をつく。
そして、そのまま曲がり角を曲がろうとした瞬間、私は誰かに、ぶつかってしまった。



「…わ、うっ！？…」


ばさ、という音と共に、プリントが床に散らばる。
完全に気を抜いていたから、尻餅をついてしまった。


「ご、ごめんなさい、大丈夫でした………………か……………」


……顔を上げた瞬間、私は血の気が引いた。
そこにいたのは、紛れもなく…英智さんだったから。

17．→←15.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す