検索窓
今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:56,638 hit

9. ページ9

「…どういうことだ?」






「だから、そのまんまの意味です。英智さんは…もう、私を必要としなくなりました。」





不思議だ。
どうして、こんなにもすらすらと言葉が出てくるのだろう。こんな言葉、口に出したくも無いのに。







「昨日言われたんです、私を解放するって。その方が私のためだからって。…そんなの、全然違うのに。」







私を解放なんて、しなくてよかった。
しないでほしかった。


もっと早く気付くべきだったんだと思う。彼が私を必要としなくなれば、私はもう、必要がない人間だということに。
すっかり、忘れていたんだ。この生活が、当たり前になっていたんだ。




「……愛されてるのな、おまえ」


ふと、月永さんはそうぽつりと呟いた。


「……え…?」


それは、どういう意味だろうか。
いきなりそんなことを言った彼を不思議に思い、しばらく見ていると…月永さんは、困ったように、にへら、と笑った。


「大切にされてるな、守られてるなぁ…!それほど、あいつにとっておまえは…壊したくない存在なんだな!」


どこか、悲しそうに。
けどどこか、嬉しそうだった。



「……私は、大切にされてるんでしょうか」



言っている意味が、よくわからない。
大切にされてる?守られてる?…どうして、そういう考えになるの?


どう考えても、私は…嫌な方向に捉えてしまう。




もやもやとした感情が、どんどん心を黒く染めてく。
頭の中は、もうぐちゃぐちゃだ。





「されてるよ」





「…え…」




けど、そんな暗い感情を消すように…月永さんは、私の肩をぽん、と叩いてきた。





「されてるに決まってるじゃん!!だってあいつ、おまえのこと大好きだし!」





そういうと、月永さんはにこ、と笑った。

10.→←8.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (132 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
292人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

黒蜜まちゃこ(プロフ) - 天祥院様良すぎる…是非続き見たいです!更新応援してます! (2018年5月20日 15時) (レス) id: e5a697c08e (このIDを非表示/違反報告)
りっちー(プロフ) - 夢主ちゃん可愛い〜!更新頑張って下さいね!! (2018年5月14日 20時) (携帯から) (レス) id: ee27b93d84 (このIDを非表示/違反報告)
あかりん(プロフ) - おぅふ…いいねー!この時が来るのを待ってましたー!友達もおすすめキてきまーす! (2017年8月26日 9時) (レス) id: d4b62537e4 (このIDを非表示/違反報告)
永遠抹茶 - はじめまして!私は英智先輩大好きなのでいつも楽しく読ませてもらっています!続きが凄く楽しみです!更新頑張ってください!! (2017年7月7日 22時) (レス) id: eaae209883 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:睦月 | 作成日時:2017年5月20日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。