惨拾漆 ページ39
鬼灯side
閻魔「Aちゃん、今日は鬼灯くんと一緒にいて?多分、Aちゃんじゃないと落ち着かせられないからさ」
A「はい、分かりました」
鬼灯「……Aさん」
A「なんですか、鬼灯さま」
鬼灯「…早く部屋に戻りましょう」
A「そうですね。閻魔大王、お休みなさい」
閻魔「うん、お休み。しっかり休んでね」
A「はい」
ガチャン
部屋に戻ると、私は勢いよくAさんを抱き締めた
Aさんは一瞬たじろいだものの、すぐに頭を撫でてくれた
鬼灯「……よかった……」
ただ、Aさんが存在しているという、証明が欲しかった
A「鬼灯さま、少し苦しいです。あと、まず座りませんか?」
鬼灯「すいません、そうですね」
Aさんを離すと、少し息をついて微笑んだ
座れるところがベッドしかないため、ベッドに座ると、Aさんがお茶を出してくれた
入れたての温かいお茶からは、ラベンダーの匂いががする
A「ハーブティーです、ラベンダーの。精神的な疲れや、不眠の解消、更に不安を和らげる効果があるそうです」
不安……
なるほど、だから私にこれを出したんですね
確かに今の私は、Aさんが居なくならないかの不安でいっぱいですから
鬼灯「…ありがとうございます」
湯気がたつハーブティーを一口飲むと、ラベンダーの香りが鼻を抜けた
温かく、優しい味わいがして心が安らぐようだ
A「…落ち着きましたか?」
鬼灯「はい。すいません」
A「いえいえ…いいんですよ、鬼灯さま。お一人で抱え込まなくても」
微笑みながら、Aさんはまた頭を撫でた
鬼灯「…Aさん、抱き締めてくれませんか…?」
A「…ニコッはい」
Aさんの温かさが伝わってくる
耳もとでAさんの優しい声が聞こえる
Aさんの胸に顔を埋めると、規則正しいリズムが伝わってくる
あぁそうか……
Aさんはまだ生きているんだ
何処にも行かずに、ちゃんと此処にいる
鬼灯「Aさん……」
A「なんですか?」
鬼灯「…私の補佐官になってください」
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作者名:黒鴉 | 作成日時:2018年12月21日 16時