鳩の化物 ページ28
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その鳩達は愛くるしさを捨てた様な姿だった
体は一メートル弱、目玉は血の様に赤く出目金みたいに大きい。嘴はさながら凶器で魔物でも見ているみたいだ
本来であるなら徳利の様な体も
所々気泡の様なものがあり、気持ち悪いの一言に尽きる
少なからずこれが鳩だと言われても俺は信じない
平和の象徴と言われる鳩がこんなです何て笑えなさすぎる
取り敢えず一つ言わせてもらおうか
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｢リアルSANチェックだろあれ!!!!｣
零｢何やはるやんダイスでも振るん？｣
ス｢何言ってんのか解らないけど逃げるよ！｣
ウ｢な、何ですかあれーーーっ!!??｣
スカイの言葉を合図に俺達は進めていた足を180度回転させ、走った
取り敢えず逃げるにも戦うにも
外に出ない事には始まらない
もしくは町中ではないもっと郊外の所でも良い
民間人を巻き込まなければ何処だって良いんだ
(幸い俺達だけを狙ってるみてぇだし……
……ん…？)
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では、町の人間達はどうした？
あの化物を見て逃げている筈だ…とは思う
何となく心に拭えない何かを感じて俺はふと、背後に目をやった
鳩擬きはまだ追い掛けてくる
でも俺が注目したのはその向こう
町の様を見て、思わず目を疑った
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町人｢アハハハ｣
子供｢キャッキャッ｣
｢なんで……"逃げてないんだ"…?｣
町の人間は逃げる処かいつも通りの生活を行っていた
まるでそれすら気にしてない様な
気付いてないんじゃないかと思ってしまいそうな、そんな様子
見えてない？
いや、そんな筈はない
女神のウルズにだって見えるのに
この世界の住人であるセキト達だって見えているのに
徒人に見えない何てそんなの有り得ない
じゃあ何で……
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町人｢アハハハ、アハハハ……あ、ハハ…｣
｢!!まさか……｣
町の人間の一人がチラリと化物を見た
間違いない、見えてる。見えていて尚笑ってる
顔は笑っていても瞳の奥は化物に対しての恐怖を持っていたから確実だ
頭が狂ってるのかと思った、でも違う
怖いから笑っている？違う
恐らくは笑っていなければならないとか
喜の感情を持つ事を強制されてるかの様なそんな類い
全てを総じて、前へと向きを変えた自分は思った
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この国は何かおかしい…と
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作者名：黒神白堊 | 作成日時：2017年6月15日 20時
