復讐のレクイエム2東京編 (ページ10)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:6,026 hit

使用人過去編2 ページ10

「休めないのは、お前の仕事が遅いからじゃないのか俺がお前たちの立場だったころには、

寝る間も惜しんで働いたものだ。時間内に終わらなかったのは自分の責任、至らなさゆえと考えて、当時の執事長に頭を下げたんだぞ

『休みなどいりませんから、この仕事を最後まで俺にやらせてください』とな」

　我ながら、なんと美しい奉仕の精神だろう。
　
もちろん、その心は今もここにある。執事長という立場でなければ、レオが彼たちの仕事を全部やってやりたいくらいだ。

　けれどもレオは、順番をきちんとわきまえていた。
　自分たちがしてきた苦労は、若い人間にもさせてあげなければ。

そうしないと、人間に成長はないのだ。

　すると、若い執事のひとりが口を開いた。

「……なんだよ……」

　ぐったりとした顔の男は、じろりとレオを睨み付ける。

「手が回らないのは、貴方が何人も執事を辞めさせるからでしょう！？

とてもひとりじゃ終わらないような量の仕事を言いつけて、追い詰めて失敗させて！奥さま旦那様に直々に叱らせたり、クビにしたり……」

「……口答えする気か？」

　生意気なその発言に、レオはかっとなった。

「執事長に逆らうなんてどういうつもりだ！？お前たちはいま、

お給料をもらいながら学ばせていただいている幸福な立場なのんだぞ､それなのに謙虚な気持ちもなく、給料泥棒が！！」

「私たちは一生懸命働いています！お仕事ですから、日によって仕事の量が多いのは納得しているんです！けれどもこう毎日で、お手洗いに行く時間すらないんですよ！？」

「ちょっとリゼルやめなよ……！」

「やめません。執事長、こんなの可笑しいです前より人が減っているのに、

同じ時間で同じ仕事をこなせるわけがない。そもそも決められた時間内で終わる仕事の量を割り振れないのは、執事長､貴方の能力不足なんじゃないですか」

「はあ！？何を……っ」

自分の仕事が遅いのを、言うに事欠いて他人のせいにするというのか。
　
レオにはこの男が信じられなかった。

こんな考えの執事を置いていては、西園寺家に申し訳が立たない。

雇用のときに仲介人から話を聞く限りはいい男だったのに、すっかり騙された｡