復讐のレクイエム2東京編 (ページ16)

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使用人過去編8 ページ16

お茶会があるまで、レオは、これまで以上にリゼルに厳しくあたった。

『誕生会のために鍛え上げる』という名目で、彼をしごく。

リゼルは疲労の色は濃かった。

そして、お茶会の当日。
ひとりで忙しく動き回るリゼルは、燕尾服を靡かせ

テーブルの準備をし、菓子を焼いて、着々と準備を整えていった。

レオは使用人室でお茶を飲みつつ、時々様子を見に行って、いつものように注文をつける。

「おいおい！パサパサじゃねぇか！こんなもの出すわけに行かないぞ！」

「…はい」

リゼルは物言いたげな様子でもあったが、今日が絶対に失敗できない日であることを理解しているためか、普段より素直に従った。

リゼルはぱたぱたと動き回っていたが、あるとき困ったように手を止めた。

「あれ……？ミルクがもうない……」

「何をしている早く手を動かしなさい」

「執事長、申し訳ありません。ミルクを切らしたみたいで」

「なんだと？ないなら買いに行けばいい」

「ですが下町に行くまで2時間はかかります」

「そのあいだは俺が何とかするから早く行け！」

リゼルは勝手口から厨房の外に出た。そのあとをこっそり追うと門を閉めた

時間稼ぎにしか過ぎない

リゼルがとっておいたミルクをレオが隠したことには、もちろん気が付いていないだろう。

周囲に人がいないのを確かめる

ここまでくれば、あとは簡単だ。

「奥さま！旦那様！のえるさま！大変です、リゼルが放置して消えました！！」

旦那の部屋に駆け込んで報告すると、３人は驚いたようにレオを見遣る。

真っ先に口を開いたのは、奥様

「なんですって！？どういうことなの、レオ」

「は、はい。朝からほとんどの準備を俺に押し付けた挙句、サボっていると思ったら……先ほどついに、姿を消したのです！」

「リゼル…」

　青ざめた旦那様が、信じられないと言いたげに尋ねてくる。

「本当なの？リゼルが、いなくなったなんて……」

「はい。あの男ときたら、のえるさまに目を掛けていただいたご恩を忘れて……！」

「それじゃあ、僕の誕生日会は！？お茶会はどうなるのぉ！！」

　その問い掛けを、レオは待っていた。

「ご安心ください、のえるさま。お茶会の用意は、このレオが進めておりました。あと少しで準備も整います」

「本当！！」

のえるはぱぁっと笑みを浮かべた