23匹砕ける。 ページ23
「エミさんこのままじゃ死んじゃいますよ…逃げたらどうです？」
「…いいえ、逃げません。
貴方からの痛みを、甘んじて受け入れます。」
「いつもやったらすぐ逃げ回っとったのにな」
「あはは、そうでしたかね…そうでしたね。
あの時はとても楽しかった」
気丈に振る舞ったつもりでも、手が、カタカタと震えている。
「…ショッピさん、泣かんといてよ」
ナイフを彼に押し込もうとする俺の身体に抵抗する、殺したくない、殺したくない、殺したくない！！
俺はまだ、この人と笑い合っていたい！！！
「戻りたくなってまうやろ」
「戻ってくればええやん、なあ！！」
首を横に振らないで、「戻りたいです」とでも言ってくれ！！
そしたら俺は「仕方ないですね」って生意気に返して、その手を引いてあんたを我々だに戻せるから！！
嫌だ、嫌だ、殺したくない、忘れたくない！！
だから、そんな悲しそうな顔で笑わないでくれ、エミさん！！
「今となってはただの幻想に過ぎませんけど…皆さんと、貴方と、笑いあえて楽しかったです。
…さようなら、ショッピさん。」
「──さようなら、は嫌やって」
エミさん、と呟いたのと共にナイフを奥まで押し込んでしまった。
肉を押し切ってナイフが奥へ奥へと入り込んでいくのが、
痛みを抑えたような彼の呻きが、
口からごぽりと零れた赤が、
ナイフを中心に赤に染っていく衣服の様子が、
…やけにリアルだった。
そしてナイフが手から離れて、彼はどさりと地に落ちた。
…安らかな死に顔を見て、どうしようもなくやるせなくなる。
抵抗は無意味だった。
どうしようも、なかった。
「…エミさん」
冷たくなりつつある頬に触れる。
無造作に投げられた手を握る。
「……あんたが1番知ってると思いますけど…俺ら、結構しぶといんですよ
絶対、あんたのこと、思い出してやりますからね」
精一杯意地悪く笑ってやった。
意識が遠のく。エミさんの姿が、霞んでいく。
瞬きの間に、全てが霧になって消えていった。
『…そんなこと、貴方たちのためにならないというのに』
焦ったような声色の、嬉しさが滲んだ台詞だけが最後まで遺っていた。
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慧羽 - この話ヤバい…めちゃくちゃ泣きました。今ちょうど、好きなユーチューバーがアンチのせいで辞めてしまって、ちょうどアンチにとても怒ってたので、本当に泣きました…。神すぎる作品を作って頂き、ありがとうございます!! (2022年8月11日 20時) (
レス) @page50 id: 55059b1f92 (このIDを非表示/違反報告)
森の民(プロフ) - 半分ファンタジーで、半分は現実でも起こることなんだなぁ。一気に読みました。神小説ありがとうございます。 (2022年8月10日 22時) (レス) @page45 id: 6c1a629d1f (このIDを非表示/違反報告)
ふかふかおふとん??(プロフ) - 神ですね涙がとまらない (2022年8月10日 20時) (レス) id: 1455eebfad (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ双子(プロフ) - 何この作品⋯!!神すぎる⋯泣きました。涙腺崩壊です⋯。本当アンチとか群れないとなんにもできないくせにいらないですよね⋯。本当この作品神すぎます。好きです (2022年8月10日 15時) (レス) @page14 id: b167e19be9 (このIDを非表示/違反報告)
天天(プロフ) - 泣いた。今もスレとかあるからマジでスレ消したい。アンチとかなんであるんだろなぁ… 自分が叩かれてたらって思ったらゾッとするはずなのに。個性じゃん。この作品マジで神ですね。好きです（唐突） (2022年8月10日 14時) (レス) id: bc837922a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マンゴスチン | 作成日時：2022年8月8日 7時
