22匹砕ける。 ページ22
「面白いことを仰いますねショッピさん。
私が述べたのはただの事実じゃないですか」
「はっ、教えてあげますよ、偽物さん。
…俺の記憶の限り、エミさんはそこまで自分を卑下するほどプライドのない人やなかった。
笑点とかで阿呆ほど滑ることを肯定した上での自虐や、
ゲーム上どうしても覆せない経験やセンスの無さ…ストレートに言うと下手さについてのへりくだりや反省はよく見られましたけど。
自分のことを『不要物』と称するほど自分を嫌う人じゃなかったですよ」
ナイフを突きつけながら、1歩、2歩、
半分は自分の意思で、もう半分は抗えない力によって彼の元へと進んでいく。
「…それは貴方の主観では？」
「これが俺の主観ならあんたのそれもあんたの主観、事実ではないでしょ？」
「……いえ、私、エーミールのは事実ですよ」
今、一瞬だけ、いつものエミさんだった。
目を見開いて、「それもそうですね」って教師が生徒を褒める時のような顔を一瞬してた。
なのに、不気味な笑顔ですぐにいつもの彼が覆い隠されてしまった。
「……何が目的や」
「おや、まさかお知りでない？
…私エーミールの記憶を消し、我々だを正しい形に戻すこと。
それ以外に目的は何もありませんよ。」
「あんたがいない我々だの方が…間違ってる、って俺は思いますけどね」
ぱちり、と瞬きひとつ。
…いつものエミさんが戻ってきた。
「そんなわけ、ないでしょう」
「そんなわけあります。
あんたもいてこその我々だです。
…あんたに次いで新入りの俺が言えることじゃないかもしれませんけど。」
「…いえ、ショッピさんには、好きに言う資格があります。」
嬉しそうな泣きそうな顔で、エミさんは微笑んだ。
「私とは違って…
最初っから、狡猾に円滑に皆さんと真っ当にやり合えて、磨きあえて。
それだけやなくて、ひたむきに影の努力を重ね、その成果を、新入りとは思えないほどの活躍を常に見せ続けられて。
だから、『顔のない国民達』からの評価も高い。
とても、偉くて、素敵な方ですから。」
ニコリと笑った彼の心臓の丁度上らへんにナイフが触れた。
…ああ、どうしよう。
俺はこの人を殺せない。………殺したく、ない。
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慧羽 - この話ヤバい…めちゃくちゃ泣きました。今ちょうど、好きなユーチューバーがアンチのせいで辞めてしまって、ちょうどアンチにとても怒ってたので、本当に泣きました…。神すぎる作品を作って頂き、ありがとうございます!! (2022年8月11日 20時) (
レス) @page50 id: 55059b1f92 (このIDを非表示/違反報告)
森の民(プロフ) - 半分ファンタジーで、半分は現実でも起こることなんだなぁ。一気に読みました。神小説ありがとうございます。 (2022年8月10日 22時) (レス) @page45 id: 6c1a629d1f (このIDを非表示/違反報告)
ふかふかおふとん??(プロフ) - 神ですね涙がとまらない (2022年8月10日 20時) (レス) id: 1455eebfad (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ双子(プロフ) - 何この作品⋯!!神すぎる⋯泣きました。涙腺崩壊です⋯。本当アンチとか群れないとなんにもできないくせにいらないですよね⋯。本当この作品神すぎます。好きです (2022年8月10日 15時) (レス) @page14 id: b167e19be9 (このIDを非表示/違反報告)
天天(プロフ) - 泣いた。今もスレとかあるからマジでスレ消したい。アンチとかなんであるんだろなぁ… 自分が叩かれてたらって思ったらゾッとするはずなのに。個性じゃん。この作品マジで神ですね。好きです（唐突） (2022年8月10日 14時) (レス) id: bc837922a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マンゴスチン | 作成日時：2022年8月8日 7時
